【天野惠子先生が推薦】全国・女性外来を訪ねて
尾中病院 女性外来 松田昌子先生
●前回の記事
自覚しにくく誰でもなりうる加齢性難聴研究テーマは「エストロゲンと運動と女性の健康」
“人間が好き”を基本に会話重視の医療
松田昌子先生(まつだ・まさこ)山口大学名誉教授。1973年山口大学医学部卒業。米国マウントサイナイ病院循環器科勤務等を経て2000年より山口大学医学部保健学科教授、2003年~2013年同附属病院女性診療外来主任併任、2020年3月まで同非常勤医師。同年4月より尾中病院女性外来医師(火曜午前)。阿知須同仁病院女性総合外来にも勤務(月曜午後)。診療を通して気づいた女性医療のあるべき姿
松田昌子先生の女性医療歴は、2003年、山口大学医学部附属病院女性診療外来の主任としてスタートしました。
2020年に新築移転した尾中病院の待合室は広々とした造り。プライバシーに配慮した診察室。外来新設にあたり、「エストロゲン・運動・女性の健康」を研究テーマに掲げていた松田先生に白羽の矢が立ったのです。他科の女性医師や多職種のコメディカル(医療従事者)の幅広いサポートを受け、時間をかけた診療の中で多くの気づきがあったといいます。
尾中病院の外来看護師たち。コメディカルの支えは女性外来発展に不可欠だという。女性外来受診者用の問診票。「女性は医師が話を真剣に聞いているか否かにとても敏感で、そのことが医師への信頼度を大きく左右すること。治療についての患者の希望は多様であること。こちらの考えを押しつけるのではなく、会話を通して両方が納得できる着地点を見つける大切さを学んだことが今も役立っています」(松田先生)。
更年期症状を予防・改善。運動の大切さを伝える
松田先生は更年期の女性たちに特に運動の大切さを伝えています。自律神経失調、高血圧、脂質異常、骨粗しょう症、うつ症状などエストロゲン欠乏によって生じる多くの不調を予防・改善するからです。
「ウォーキングなどの有酸素運動にスクワットなどのレジスタンス運動を組み合わせるとベストです」。
松田先生には医学生の頃から心に留めている言葉があります。「理想の医師とは賢者にも愚者にも、高慢な人にも謙虚な人にも、広く関心をもてる人、つまり人間が好きな人である」──。
「『ハリソン内科学』巻頭で出会って以来、医師の心構えの原点として折に触れ思い出します」。
「理想の医師とは人間が好きな人である」の文章が載る『ハリソン内科学』は、内科学テキストの最高峰と評価が高い。今後は内科や皮膚科に在籍する女性医師らとも協力体制を作り、女性医療をさらに充実させたいと考えています。