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都通信記事一覧へ>>京都の街中からも程近いアサヒビール大山崎美術館のテラスからは、緑豊かな景色を見渡せる。2019年の秋は京都で芸術尽くし!散策も楽しい、緑豊かなエリアの美術館3軒
(京都特派員:西村晶子)
さまざまな美術館やアートスポットがある京都ですが、観光シーズン中はどこも人でいっぱい。
それに比べて、静かにゆったり美術鑑賞ができるのが郊外の美術館です。散策を楽しんだり、カフェで寛いだりと、アート以外の楽しみがあるのも魅力です。
今月はそんな郊外の穴場の美術館3軒をご紹介します。
1.アサヒビール大山崎山荘美術館
天王山の中腹に、イギリス風の山荘を修復した美術館が姿を見せる。緑豊かな自然に溶け込む瀟洒な別荘建築
京都駅から電車で約15分。美術館がある大山崎町の天王山は、京都と大阪の境目に位置する風光明媚な地です。
天王山の中腹に建つこちらの美術館は、ニッカウヰスキーの創業にも参画した実業家・加賀正太郎の別荘「大山崎山荘」を改築した、英国風の建築物です。
この本館の隣には、安藤忠雄設計の地中館「地中の宝石箱」が建ち、ともに周囲の緑豊かな景観に溶け込むように佇んでいます。
本館の前の庭園では春は桜、秋は紅葉が楽しめる。11月のシーズンに訪れるのもおすすめ。紅葉の美しい小道を歩いて美術館へ
敷地の入口から建物まで続く道の途中には、瀟洒なレンガ造りのトンネル、春は新緑、秋は紅葉が美しい小径が続き、しばらく進むとようやく山荘が見えてきます。
本館の展示室。本館は加賀正太郎が自ら、イギリスのチューダー・ゴシック様式を基本として設計した。コレクションの中核を成すのは、濱田庄司や河井寛次郎、バーナード・リーチらの民藝派運動ゆかりの作品群。ほかには、印象派のクロード・モネの「睡蓮」の連作集など、西洋美術作品も。
室内の装飾のところどころに、当時の雰囲気が感じられる。この秋は東山魁夷のスケッチが勢揃い
9月14日(土)~12月1日(日)は「東山魁夷のスケッチ 欧州の古き町にて」を開催し、魁夷が欧州の旅で描いたスケッチを中心に、前期52点、後期53点を展示しています。
東山魁夷 《フレデリク城を望む》 1962年 長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵(前期展示)。長い時間をかけて描かれる本画(完成した絵画作品のこと)と違って、スケッチならではの自由な視点や表現が見られ、自然や町の風景、人々の営みへの魁夷の開放された心の動きを感じることができます。
東山魁夷 《静かな町》 1969年 長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵(後期展示)。また、こちらでもう一つ楽しみにしたいのが、鑑賞後のひととき。
喫茶を楽しめる2階のテラス席。庭園や眺めのよいカフェも魅力
広大で変化に富んだ庭園を散策したり、本館2階のバルコニーからは、木津川、宇治川、桂川の淀川三川が合流して淀川となる壮大な景色を一望できます。喫茶室では、会期中は魁夷が巡ったドイツやオーストリアにちなんだケーキを楽しめます。
アサヒビール大山崎山荘美術館
京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3
電話 075-957-3123(総合案内)
開館時間 10時~17時(最終入館16時30分)
休館日 月曜
入館料 一般900円
https://www.asahibeer-oyamazaki.com/