なぜ、この季節にこれほどたくさんのチューリップが! ?
さて、12月上~下旬にかけての花菜ガーデンには冬咲きクレマチスのほかにもうひとつ、見るべき花があります。それはなんとチューリップ! 入り口のあたりから花壇にチューリップが咲いているのを見つけますが、驚くのは奥に進んだ洋館の前に広がる景色です。
これは春ではなく、12月上旬の景色です。そして、ここはヨーロッパでもアメリカでもなく、紛れもなく日本。写真/横田秀樹まるでそこだけひと足飛びに春が来たように色とりどりのチューリップが咲き誇っています。この洋館は『園芸家の十二ヶ月』の著者、カレル・チャペックの家と庭を模したもの。屋敷を背景にチューリップが咲く景色に、まるで海外を旅しているかのような錯覚を覚え、とても愉快な気持ちになります。
私が訪ねた12月上旬には、10月17日に球根を植え付けた第1陣が咲き誇っていましたが、11月14日に植え付けた第2陣は、ちょうどいま咲き始めている頃です。
不思議な感覚になる冬に咲くチューリップは、特殊な方法で球根を冷蔵保存して開花を早めたもので、アイスチューリップと呼ばれます。 その開花のメカニズムについては、次回、詳しくご紹介いたしますので、お楽しみに。
エントランス近くの花壇でもチューリップが満開に。組み合わせている花がコギクやアスターなので、これが春の景色ではないことがわかるはず。写真/横田秀樹 Information
神奈川県立花と緑のふれあいセンター 花菜ガーデン
神奈川県平塚市寺田縄496-1
- ※開園時間と入園料は、シーズンによって変わります。
高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
ガーデニングエディター
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。現在は、種苗会社の会員向け月刊誌のほか、園芸雑誌などの編集に携わる。