大人のダイエット 第10回(全12回) ダイエットといえば食事を制限し、体重を減らすことばかりに気を取られていませんか。若い頃に比べて太りやすくなったのは年に1パーセントずつ筋肉が減少し、基礎代謝が低下しているからです。つまり、大人のダイエットを成功させるためには筋肉の量を維持または増やすことが重要です。それは確実に、美しい体をつくることにも、健康寿命を延ばすことにもつながります。
前回の記事はこちら>> 食事制限を成功させるには全体のバランスが肝心
そもそも体重が増えるのは摂取と消費のエネルギー量のバランスが崩れ、摂取エネルギー量が消費エネルギー量を上回るからです。
それは誰でも知っていることなので、食べる量を抑えるわけですが、摂取エネルギー量を減らそうとするあまり甘いものや高カロリーのものを我慢することに終始しがちです。
しかし、食べ物をコントロールするのはとても難しいことなので、最初はエネルギー量や栄養のことを考えすぎずに行ったほうが食事制限の成功率は高くなります。
つまり、全体のバランスが肝心で、カロリーオーバーしなければ食事制限中でも甘いものを食べていいのです。
たんぱく質を上手に補って運動効果を引き出す
全体のバランスをとる際には体重と食事内容を見比べ、カロリーオーバーした食べ物の中からそれほど我慢せずに減らせるものを選んで制限します。
同時に食事制限中であっても大人のダイエットのカギを握る“筋肉”を減らさないように、筋肉の原料となるたんぱく質と筋肉の合成に必要な微量栄養素を意識してとりましょう。
さらに基礎代謝を高める筋トレと脂肪を燃焼させる有酸素運動で消費エネルギー量を増やして体重が順調に減ってきたら骨や血管、免疫など健康のことも考えた栄養バランスのよい食事に切り替えていくのが運動効果を引き出し、失敗のない食事コントロールの方法です。
関東学院大学栄養学部 管理栄養学科准教授
菅 洋子先生管理栄養士、博士(スポーツ医学)。スポーツ栄養を専門とし、運動効果を引き出す食事法の知識が豊富。公衆栄養学の観点から健康・栄養問題にも取り組む。