エンターテインメント

吉沢 亮さんが出演を渇望した舞台『マーキュリー・ファー Mercury Fur』に挑む!

2021.11.25

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吉沢亮さん

舞台だからこそ伝わるリアルな人間の生き様


極限状態に置かれた人間の本質に迫った本作は、過激で挑発的な台詞が多く、観ている側にも迫り来るものがある。この台本には何を感じたのだろうか。

「すごい世界観が描かれている作品だと思います。長期にわたる時間経過でもなければ、場面転換で時間が飛ぶこともなく、2時間ちょっとの出来事をリアルタイムでひたすら追いかけている。その生感というか、本当にそこに生きている人を感じられます。台詞回しも面白くて、よくわからない入り口から入ったと思ったら、結局そのことを話していたのか! とあとで話の内容に気づかされるんです。何かじわじわとそこで起こっていることが伝わってくる感じがして、僕はとても好きでした」


止めどなく出てくる吉沢さんの言葉からは、これから挑むことへの思いが伝わってくる。そんな吉沢さんの“今”を形成した経験と本作での目標も伺った。

「百鬼オペラ『羅生門』(2017年)でご一緒したイスラエルのインバル・ピントさんとアブシャロム・ポラックさんという演出家のかたが“日本語は言葉で意味を全部説明できる”とおっしゃっていたことが印象に残っています。“英語だと単語の声の発し方や表情とかで変わるけれど、日本語は言葉を換えれば平坦なお芝居であっても違う感情になったことが相手はわかる。だからもっと体や声、全身を使ってほしい”といわれて、実際にあの作品に出演したことで僕の中の何かが変わったと思います。

ここ最近は、大河ドラマも含めて、映像の世界で瞬発力を求められ、その場の感覚でお芝居をしていることを実感していました。舞台作品は映像とは芝居の組み方が全然違うと思いますので、今まで積み上げてきたものは一切通用しないという気持ちで臨みます。そして、初演で僕が突きつけられた絶望、立てないほどの衝撃を受けた思いを今回も味わってもらいたいです」

吉沢さんが初心で向き合うエリオットの弟のダレンを演じるのは北村匠海さん。北村さんとはこれまでも共演を重ね、互いに信頼を置く間柄だ。

「北村くんのことは役者としてすごく尊敬しています。今までも兄弟役は演ったことがあり、すごく素敵な芝居をする人です。今回の作品が彼にとって初舞台となるので、どんなものになるのか、傍で見ていてすごく楽しみです」

吉沢 亮/よしざわ・りょう

1994年、東京都出身。2009年、アミューズの全国オーディションで審査員特別賞を受賞し、俳優デビュー。以後、ドラマ、映画、舞台など幅広く活躍する。映画『キングダム』で、第62回ブルーリボン賞助演男優賞、第43回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』では、主人公の渋沢栄一を演じる。



『マーキュリー・ファー Mercury Fur』


『マーキュリー・ファー Mercury Fur』

『マーキュリー・ファー』に出演する主要キャストたち。

イギリスの劇作家・フィリップ・リドリーが2005年に書き下ろし、日本では15年に白井 晃の演出で上演された作品。

ボロボロの部屋にやってきたエリオットとダレンという兄弟が、急いでパーティの準備に取りかかっていると、とある青年が偶然顔を出し、「バタフライ」が欲しいから手伝うといい出す。さらにローラと呼ばれる美しい女性とパーティの首謀者らしき人物が謎の婦人をつれてやってくるが、いったいどんなパーティが始まるのか......。

過激な表現や挑発的な台詞で、極限状態に置かれた人間の残虐さが描かれ、人間の本質を鋭く突きつけてくる。出演は吉沢 亮、北村匠海ほか。

舞台の詳細はこちら>>
撮影/岡積千可 構成・文/山下シオン スタイリング/荒木大輔 ヘア&メイク/小林正憲〈SHIMA〉

『家庭画報』2021年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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