自然災害、世界のさまざまな問題、想像もできなかった物事の転換など。時代は今、分岐点にあるようです。そんな荒波の中、私たちはどう生きていけばよいのでしょうか。御歳94歳、パワー溢れる瀬戸内寂聴さんにお話を伺う全4回連載。今回は、人生「喜怒哀楽」哀の巻。
前回の記事(その2〜人生「喜怒哀楽」怒りの巻〜)はこちら>>他人のために祈り、行動する
「忘己利他(もうこりた)」こそが大事
今も世界のどこかで戦争が続いていますね。これはとても情けないこと、悔しいことです。戦争には絶対反対です! 声を大にして世界中のみなさんに伝えたいです。
戦争では、我が子が殺されたり、愛する人が殺されたりという、とんでもない悲劇が限りなく連鎖します。いいことなんて一つもありません。誰も幸せにしません。
人は誰でも、幸せになるために生まれてきています。それは、どこの国に生まれても、どんな経済状況でも、どんな環境の人でも、すべての人に当てはまる、人間の当然の権利なんです。
子供がお腹いっぱい食べられて、学校に通って勉強ができて、将来の夢に向かって頑張れる。地球上に一人でもそれができない子供がいるならば、それは本当の意味での幸せとは言えないのです。
自分だけがいい服を着て、おいしいものを食べて、それで得意になる−−。そんなの愚の骨頂。みんなが同じ程度の服を着られて、おいしいものを満足に食べることができる。そうでなければ、あなたも私も幸せとは言えません。