手を目いっぱい開き、1本ずつ順番に曲げていきます。ほかの指は開いて伸ばそうと意識するのがポイント。頭を使えば体が変わり、心も前向きに
「僕の体は宇宙に一つ。文句をいってないで仲よくします!」── 松岡さん
松岡 きくち体操は、50年以上実践されている先生が、年を重ねられた今もとてもお元気なので、説得力があります。続ければ、自分も先生のようになれるかなと希望が湧きます。
菊池 自分の体を感じ取れる脳があれば、誰でもなれますよ。でも、形だけまねてがんばるのでは、なれません。そこが分かれ目です。私たちの教室には男性クラスがあって、中高年のかたがたがたくさん通われているのですが、入った当初は「隣の兄ちゃんに負けたくない!」なんて、がんばりすぎることがよくあるんです。それで、「自分の体もみんなの体も、この宇宙にただ一つで、同じものはないの。だから、ほかの人と比べてもしようがないでしょう?」というと、「はい、すみませんでした」って(笑)。
松岡 皆さん、体を大切にしようという意識はあるはずなんですよね。健康で長生きするために。でも、体の末端に話しかけるといったことは思いつかないのだと思います。
菊池 それは無理もありません。学校教育では、脳と体の関係をきちんと教えませんから。
松岡 僕は今、体と対話していくなかで、頭が柔らかくなっていく感覚や視野が広くなっていく感覚、生きるのが楽しくなっていく感覚を味わっています。わかっていただけますか?
菊池 わかりますよ。誰に頼ることもなく、自分で自分をよくしているんですもの、楽しいはずです。
松岡 想像ですが、きくち体操で自分の体と対話している人たちは、自分のことが好きになり、人に対しても優しくなっていくんじゃないでしょうか。
菊池 ええ、みんな優しくなります。なれない人はわかっていない人。体も変わらないんですよ。