地域の人々に見守られ、土地の再生は進んでいく竹切りが一段落したら見晴らしが良くなった。比良山からの風がそのまま通り抜けるし、太陽の光がありがたく感じられる。何より嬉しいのは、埋もれていた柿やヤマザクラなどの広葉樹が生き返ったことだ。それとともに、辛かった作業も楽しくなってきた。
最近は、近くの畑で仕事をしているお爺ちゃんが時々遊びに来てくれるようになった。お爺ちゃんは、「よくここまでやったなー。美しゅうなったなー」としきりにほめてくれる。この言葉を励みに、一歩ずつ前進したい。
萌芽更新が可能な広葉樹は、太い幹を切って樹形が整うようにした。
パワーショベルで運んでいるのは、クヌギの幹。ヤマザクラの周辺の土を鍬で整える。下枝は枯れているものが多かったので、すべて剪定した。(「今森光彦 環境農家への道 第7回」に続く。5月8日更新予定。)
今森光彦/Mitsuhiko Imamori
写真家。切り紙作家。
1954年滋賀県生まれ。第20回木村伊兵衛写真賞、第28回土門拳賞などを受賞。著書に『今森光彦の心地いい里山暮らし12か月』(世界文化社)、『今森光彦ペーパーカットアート おとなの切り紙』(山と溪谷社)ほか。
この記事は、『家庭画報』2017年年4月号掲載の連載をWEB用に再構成したものです。