どんな検査?何がわかる?
脳が萎縮していないか、血管が狭くなっていないか。MRI・MRAの画像を解析
脳ドックの主な検査内容はMRI(磁気共鳴画像)装置で行う、脳の断層撮影(MRI)と頭部・頸部の血管撮影(MRA)です。両方の画像を一台のMRI装置で撮ることができます。
MRI画像からは脳の萎縮の状態や脳血管障害の有無を調べます。比較的多く見つかるのが症状に現れない脳微小出血や、無症候性脳梗塞など。「無症候性脳梗塞の多くはラクナ梗塞といって米粒のような脳梗塞です。今は小さくても将来的に脳卒中や認知症のリスクにつながる可能性があり、比較的重要な所見です」(笹沼先生)。
多くの脳ドックではVSRAD(ヴイエスラド)という脳の画像診断システムで海馬の萎縮具合を確認し、アルツハイマー型認知症のリスクを提示します。画像診断法は年々進化しており、現在の最先端はAIがMRI画像を解析して海馬の体積を数値で示す画期的なシステム。笹沼先生が開発に携わり、新百合ヶ丘総合病院の脳ドックで採用されています。
頭部のMRA画像では未破裂動脈瘤や血管の狭窄が見つかります。「微妙なサイズの未破裂動脈瘤の破裂確率を予測するのは非常に難しいのですが、最終的には脳神経外科医が瘤の大きさや部位、全身の健康状態などから、治療が必要か、経過観察かを判断します」(笹沼先生)。
頸部MRA画像では脳梗塞のリスクとなる頸動脈狭窄を調べます。より細かく狭窄の程度を知りたいときは頸部超音波検査を行います。
発見できる主な病気
●無症候性脳梗塞(ラクナ梗塞)
●未破裂動脈瘤
●頸動脈狭窄
●脳腫瘍
●認知症(アルツハイマー型、血管性)
取材・文 浅原須美 撮影 田中 雅、柳原久子、本誌・大見謝星斗、伏見早織 イラスト 岡部哲郎
『家庭画報』2022年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。