名物土産(工芸編)
3.400年続く茶人好みの有馬籠
豊臣秀吉や千 利休の時代より六甲の竹を使った竹工芸の名産地として発展した有馬。有馬籠と称される竹細工の花入を利休も愛用したと伝わり、花を入れたときに映える面白みのあるデザインは今も茶人に好まれています。
有馬で唯一残る工房ではその伝統や技術を守りながら、現代の暮らしに合った竹製品も手がけています。
右・右から茶人好みのせせらぎ籠7700円、洋空間にも合う巣ごもり籠1万1000円。左・有馬籠を製作する4代目の轡(くつわ)昭竹斎(しょうちくさい)さん。有馬籠本店兵庫県神戸市北区有馬町1049
TEL:078(904)0364
営業時間:10時~ 17時 水曜定休
4.見て美しく、愛らしい人形筆
筆を持って文字を書こうとすると筆軸の上部から豆粒のような人形が飛び出す有馬人形筆。
飛鳥時代に子どもができないのを嘆いた孝徳天皇が有馬に逗留してまもなく皇子が誕生した故事をヒントに考案されたのが始まりといわれ、子宝授与の縁起物としても人気です。筆軸に巻く絹糸の色や組み合わせで無限の柄を生み出しています。
左・筆の模様は市松、青海波、うろこ、矢がすりを基本にアレンジ。人形筆3300円〜。右下・筆軸の中に仕込まれた豆人形。灰吹屋 西田筆店兵庫県神戸市北区有馬町1160
TEL:050(7125)1393
営業時間:10時~ 17時
水曜・木曜定休
有馬の湯の秘密
5.600万年を経た地球の営みの賜物
日本三古湯として、道後、白浜とともに愛され、1300年前から人々を癒やしてきた有馬温泉。国が指定する療養泉の10の成分のうち8つの成分を含む、日本随一の名湯でもあります。
温泉は火山のマグマに熱せられて高温で湧く「火山性温泉」と地熱により低温で湧く「非火山性温泉」に大別され、有馬は「有馬温泉型」と呼ばれる類い稀な非火山性温泉。近くに火山がないのにお湯が沸き出し、空気に触れた瞬間に褐色に変化。さらに水がないのにお湯が沸くという、謎だらけの温泉です。
その正体はなんと600万年前の太平洋の海水! 600万年かけて地球の内部が変化し、奇跡的に生まれた世界にも例の少ないお湯なのです。
鉄分豊富な有馬の湯は湧き出す前は無色透明で、空気に触れて茶褐色の水酸化鉄に変わる。火山がないのにお湯が沸くのは地下60キロあたりにある約600度のマントル(地球の核とプレートの間にある層)に熱せられているから。日本列島の下にフィリピン海プレートが潜り込む際に巻き込んだ海水が鉱物に取り込まれ、それがマントルに熱せられて水蒸気となり、湧き上がったのが有馬の湯。600万年かけて海水がお湯になった奇跡の温泉。