ナプキンは十二単(じゅうにひとえ)を思わせる畳み方に。折り詰めの上には、蝶々柄の江戸からかみを掛けた。ちょっとしたひと手間が特別感を演出してくれる。お昼のメニューは雛まつりにちなんで、センスある盛りつけがおもてなしにもぴったりな鮮魚店「根津松本」の江戸前ちらし寿司をデリバリー。醤油差しとして使ったクリーマーや小皿は「ベルナルド」社製。ピューター製の花型の箸置きで銀色の輝きを加えて。Tips2
細いランナーと小さめのマットをオーダーメイド
テーブルに何かを飾る時にはじか置きせず、折敷や布ものを敷くとメリハリが出てまとまりが良くなります。
雛まつりコーディネートの主役である立ち雛をのせているのは、多美保さんが西陣織の老舗「細尾」にオーダーしたテーブルランナー。淡い桃色と銀糸の重厚な質感の織りが、雛まつりにふさわしい晴れやかな雰囲気を奏でます。
注目したいのは、幅約16㎝とかなりスリムな寸法。「市販されているテーブルランナーの幅は太すぎて、プレースマットと一緒に使うと重なってしまうことが多いんです。そこで、どちらもテーブルの大きさに合わせてオーダーしました。絹の風合いを損なわないように撥水加工を施しています」。
プレースマットは、縦横が約29㎝の八角形に。日本の食卓を考えて抜いたサイズだからこそ、和のコーディネートも端正に仕上がります。
春を告げる小さな白い花と繊細な葉が可憐なユキヤナギを、立ち雛を囲むよう対に生けたアーチ状のアレンジ。花器は金属製の花留めが一体化したデザインで、長さのある枝ものも倒れずに生けられる優れもの。Tips3
花の下に集うようなアーチ状のアレンジ
「卓上に花を置くときは、お互いの目線を遮らないような配慮が必要です。思い切って見上げるほど高く生けると、視線を邪魔することがありません」と、テクニックのポイントを教えてくださった多美保さん。
花器を2か所に置き、テーブルの中央で枝先が繋がるようにユキヤナギをアーチ状にあしらいました。
ユキヤナギのような流れがある枝ものは生けやすい花材の一つ。高く生けることで、まるで花木の下で食事をしているような気分へと誘います。
足元には、流れがある枝ものと対比させるように、すっくと伸びる青麦を。花器は、IKEBANAと名づけられたデンマークの「フリッツ・ハンセン」社のもの。デザイン製の高いガラスベースを選ぶことで、コーディネートにシャープで現代的な趣を加えています。