すべてはバランスが大事。やりすぎは禁物
相川 囚われや執着につながる話ですが、人には欲望があり、常に何か自分の外に心と体が喜ぶものを探し求めているんですね。
松岡 そうすることで、生きている実感や満足感を得ているのかもしれません。よくないことでしょうか?
相川 美しい景色や新しい体験に感動するといったこと自体は悪いことではありません。問題は、何かを欲して得られないと悲しい、失ったら寂しい。得られたら得られたで、さらに欲しくなり、満たされない。そんなふうに欲望に振り回されてストレスを抱えてしまうことです。また、楽しいことも、すぎるとストレスになります。友達と会うのは楽しいけれど、張り切りすぎると、特に高齢者は、後でどっと疲れが出るでしょう?
松岡 ポジティブなことであっても、やりすぎはよくないということですね。バランスが大事なんですね。
相川 そのとおりです。すべてにおいてバランスは重要です。ポジティブでいなきゃという思いから、「大丈夫、大丈夫」といい続けていたら、自分の魂が悲鳴を上げていても聞こえません。
松岡 僕もときどき、そういう状態に陥っているかもしれません。
相川 毎日瞑想をして、魂の声を聞かなければなりませんね。
松岡 僕は先生が公開サマディで、数えきれないほどのインドの人たちに祝福を与えている映像を拝見して思ったのですが、先生はインドにいらしたほうが、より多くの人を幸せにできるのではないでしょうか。
相川 私はメンタルを使いすぎて消耗している日本人に元気になってもらいたいんです。そして、慈愛と知恵のある人になってほしい。誰だったか、日本が前よりも元気がないといっていましたが、物質的に豊かになっても、みなさんが深いところにある本質のパワーを目覚めさせないと本当にそうなってしまうかもしれません。松岡さんはガッツがあるし、広く愛されているかたなので、さらにインナーパワーを目覚めさせて、日本をよくしていってください。よろしくお願いいたします。
松岡 今日の先生のお話を嚙み締めて生きていきたいと思います。本日はありがとうございました。
修造の健康エール
地下窟で瞑想する修行について、3日間も!と感嘆したら、「もっとずっとできますよ。長いほど楽なんです。でも、みなさんが外で待っていますからね」と微笑みながらおっしゃった相川先生。さらに驚いたのは、地下窟では心臓を止めているというお話です。
そんな想像を絶する世界を知る先生にお会いして僕が感じたのは、「不動のかた」だということ。こちらのどんな言葉もすっと受け止めて動じない。おかげで楽な気持ちでお話を伺うことができました。先生曰く、僕ら日本人はみんな頑張りすぎで、体も心もストレスのゴミでいっぱいなのだそう。
「自分を愛し、人を愛し、感謝すること。ゴミが溶けてなくなって、自分の源が輝いてきますよ」。先生の教えを胸に、自分の源を輝かせていきましょう!
松岡 修造(まつおか・しゅうぞう)
1967年東京都生まれ。1986年にプロテニス選手に。1995年のウィンブルドンでベスト8入りを果たすなど世界で活躍。現在は日本テニス協会理事兼強化本部副本部長としてジュニア選手の育成・強化とテニス界の発展に尽力する。また、テレビ朝日『報道ステーション』『サンデーLIVE!!』、フジテレビ『くいしん坊!万才』などに出演中。大人気『修造日めくり』はシリーズ累計210万部を突破。近著に『教えて、修造先生! 心が軽くなる87のことば』。ライフワークは応援。公式インスタグラム/
@shuzo_dekiru撮影/鍋島徳恭 スタイリング/中原正登〈FOURTEEN〉(松岡さん) ヘア&メイク/鈴木佐知(相川さん)、大和田一美〈APREA〉(松岡さん) 取材・文/清水千佳子
『家庭画報』2023年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。