日本舞踊松本流の名取でもあり、「松本幸紀」の名を持っている。――別れを意味する『Farewell』というタイトルは誰の案ですか?
「松本さんです。彼の作品の中でも、英語のタイトルは珍しいと思います。初めてご一緒する方を半数以上キャスティングしたので、この顔ぶれでどんなものを書いてくれるのか? 今までにないような松本さんの世界を観られたらいいなと、楽しみにしています。舞台美術の準備もあるので、まだ執筆中の松本さんのお尻を、そろそろ叩かなくちゃと思っています(笑)」
――それもまたプロデューサーの大事な仕事。役者さんの出演交渉もご自身でされたわけですね?
「はい。第1弾に続いて今回も演出してくださる青山 勝さんは、『松本くんの作品にはとても興味がある』と言って、自ら演出を申し出てくださったんですが、ほかのスタッフやキャストの皆さんには、自分で連絡を取って会いに行きました。役者さんが所属する事務所の方とのやり取りも必要なので、ビジネスメールが少し上手になった気がします(笑)。予算が限られているだけに、その点もわかったうえで引き受けてくださったスタッフやキャストの皆さんには、本当に感謝しています」
――プロデューサー業のどんなところに面白さを感じますか?
「キャスティングからチラシづくりに至るまで、自分が思い描いたことが一つずつ形になっていくというのは、やっぱり幸せを感じるところですね。第1弾公演の仕込みの日に、劇場の扉を開けたらすでにセットができていて、そこに『海と日傘』の世界が広がっているのを見た時は、“自分のために、これだけの人達がこんなに素晴らしい世界をつくってくれているんだ”と思って本当に感動しました。もちろんその分、責任やプレッシャーはありますし、考えなきゃいけないことが多くて大変ではあるんですが、やりがいを感じます」
――今回は、「私が尊敬するクリエイターシリーズ」と題したアフタートークイベントも開催されるのですね。
「はい。第2弾をやるからには、第2弾ならではのことを何かやりたいなと思いまして。開催回は限られているんですが、自分がこれまで関わってきたり、お話を伺ってみたいと思っていた演劇や映像分野のクリエイターの方を回替わりでゲストにお迎えして、終演後に20~30分間のトークショーを開く予定です。ゲストは随時、公式ブログで発表していきます」