クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第2回『グレゴリオ聖歌』
イラスト/なめきみほ
2人のグレゴリウスへ感謝を込めて
今日9月2日は、イギリスで「グレゴリオ暦」が導入された日です。(1752年)
「グレゴリオ暦」とは、ローマ教皇グレゴリウス13世が「ユリウス暦」からの改良を命じた暦法で、現在「太陽暦」として日本を含む世界各国で採用されています。1年を365日とすることによってユリウス暦よりも格段に精度を上げたこの暦法は、まさに365日をテーマとするこの連載の原点でもありますね。
一方クラシック界においてのグレゴリオといえば『グレゴリオ聖歌』。こちらはローマ・カトリック教会で用いられる単旋律無伴奏音楽で、ローマ教皇グレゴリウス1世(604年没)が編纂したと伝えられることからこの名がついた宗教曲です。
かつて「グレゴリアン・チャント」の愛称によって大ブームとなったこの音楽は、まさに極上のヒーリング音楽です。ちなみに、日本ではイギリスから遅れること121年後の1873年(明治6)に、「太陰太陽暦」から「グレゴリオ暦」に変更されて現在に至ります。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。