山口富蔵さん
1937年京都生まれ。1893年に創業した京都を代表する御菓子司「末富」の3代目。母や祖母の姿を大村さんに重ねていた
山口富蔵さんは、大村しげさんの取材を受ける京菓子職人でありましたが、それだけの結びつきではなかったとおっしゃいます。共に同じ時代の暮らしや文化、京都特有の家庭料理を知っている世代であり、意気投合するのは当然だったようです。
「取材がどうのこうのやなくて、お友達として仲良うしていました。本当に京都の町のおばさんやったからね。私は母親を高校の終わりに亡くしています。それもあって大村さんは自分の母親のような感覚でした。私たちが大村さんについて語れる最後の世代です。私の育った京都の暮らしの中のおかずやごはんを大村さんは、よう知ってはった」
一緒に出かけたバリ島旅行
河原町姉小路を西へ入った場所にあった大村さんの住む京町家にも、山口さんはときおり立ち寄っておしゃべりを楽しまれたそうです。大村さんは、1980年代から毎年6月になるとバリ島へ旅行に出かけるほどのバリ島好きでした(1990年代には車いす生活になったのを機に、バリ島に移住)。当時、山口さんも彼女に誘われて、一緒に1週間ほどバリ島を旅行されています。
山口さんがバリ島で入手されたお菓子の木型。くちばしの部分で壁のフックなどに引っ掛けられるようになっています。