皆さんは、座禅をしたことがありますか? 私は、もちろんあります(笑)。
ところで、座禅をしていて雑念が出たとき、多くの人は、警策を打つ(お坊さんに肩を棒でパーンと打たれる)シーンを思い浮かべると思います。実はあの叩くような行為、何らかの罰としてではなく、理にかなった理由があって行っていることをご存じでしょうか?
雑念が生まれるときは、たいてい姿勢であったり、おへそあたりに置く手の型が崩れていたりします。言い換えると、姿勢が悪いことが原因で、血の巡りや気の流れが詰まっている状態です。それを「流す」ために、体を刺激しているのです。
つまり、雑念に対して罰を与えるのではなく、体の巡りをよくして気持ちをリセットするお手伝いをしているのです。
日頃から悩みを抱えがちな人や、ネガティブなことばかり考えて心が沈みがちな人は、一度座禅を体験してみるのもいいかもしれません。心の中にうごめく雑念を払うつもりで、警策に打たれ、一度ご破算にしてみる。そうやって気持ちを切り替えて、“とらわれない思考”を育ててみましょう。きっと少しずつ気持ちが落ち着いていきますよ。
どうか、悩みすぎないでくださいね。
塩沼亮潤(しおぬま・りょうじゅん)
1968(昭和43)年、宮城県⽣まれ。1987年奈良県吉野の金峯山寺で出家得度。1999年「⼤峯千⽇回峰⾏(おおみねせんにちかいほうぎょう)」の満⾏をはじめ、2000年には9⽇間の断⾷・断⽔・不眠・不臥の中、御真⾔を20万遍唱える「四無⾏(しむぎょう)」を、2006年には、100日間の五穀断ち・塩断ちの前⾏の後、8000枚の護摩を焚く「⼋千枚⼤護摩供(はっせんまいだいごまく)」を満⾏。同年故郷の仙台市秋保に福聚山 慈眼寺(ふくじゅさん じげんじ)を建立。「⼼の信仰」を国内外に伝えている。公式Youtube>>
◆⼤峯千⽇回峰⾏(おおみねせんにちかいほうぎょう)とは
奈良県吉野山にある金峯山寺(きんぷせんじ)蔵王堂から、24km先の山上ヶ岳頂上にある大峯山寺(おおみねさんじ)本堂までの往復48km、標高差1355mの山道を毎日16時間かけて1000日間歩き続ける修行。毎年5月3日から9月3日までの4ヵ月間が行の期間と定められているため、満行には9年の歳月がかかる。毎日おにぎり2個と500mlの水、約4時間半の睡眠で臨む、 肉体的にも精神的にも極限まで追い込まれた状況下での命がけの荒行。塩沼さんは、1991年5月3日から4万8000kmを歩き、1999年9月3日に成満している。
文/塩沼亮潤 撮影/善家宏明 上牧佑