〔特集〕注目の英国スパークリングワインと食を巡る 美味なる英国 イギリスの食は、近年大きな変化を遂げています。今やシャンパーニュに並ぶと評されるハイクオリティなスパークリングワインから、素材を大切にしつつ世界のスパイスを取り入れた新しい料理まで、英国はこれまでの先入観を覆す美味の国へと進化しているのです。ここでしか出会えない伝統と革新の食を味わうべく、新しい英国旅へとご案内します。
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独自の進化で世界が注目する英国ワイナリーを訪ねて
イングリッシュ ・ スパークリングワインは、その品質の高さと繊細かつ豊かな味わいで、世界から大いに注目を集めています。
実は、1万年前、この土地とフランスのシャンパーニュ地方は歩いて行ける地続きでした。現在はドーヴァー海峡で隔てられていますが、ぶどう作りに欠かせないチョーク層の土壌は同じ。ロンドン近郊で新たな挑戦をする2つのワイナリーを訪ねました。
Exton Park(エクストン・パーク)
海底で熟成させたスパークリングワインが話題の的。革新と持続可能な取り組みで英国ワインを牽引
右はリザーブワインをブレンドし、長期瓶内熟成させたブリュット。ブリオッシュと焼きりんごの香りに爽やかなミネラル感。左は毎年少量生産されるブラン・ド・ノワールスパークリングワイン。フルーティでリッチな味わい。
「エクストン・パーク」は、2009年よりハンプシャーで営む60エーカーの単一ぶどうのワイナリーで、小規模ながら高品質にこだわった英国スパークリングワインを生み出しています。
“持続可能” が信条の農場。
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畑を管理するフレッド・ラングデールさんは「先日まで200匹の羊たちを借りていました。自由に草をはみ、そのフンは天然肥料」という。鳥や蜂も仲間だと語る。
創業者の故マルコム ・アイザック氏は革新的な農業事業の成功者でありながらも、「いつか英国ワインを世界へ」との夢を抱いて、初心者としてぶどう栽培に挑戦し続けました。
その遺志を継ぐのは現CEOのロビン・マクミランさん。
特別なゲストをもてなすためのエクストンホールで出迎えてくれたCEOのロビン・マクミランさん。
2階のダイニングでは、オリジナル料理とエクストン・パークのワインで素晴らしいペアリング体験ができる。
2022年には故エリザベス女王のプラチナ・ジュビリーのためにブリュットとロゼのマグナムボトルを宮殿に納める栄誉が叶いました。
また特筆すべきは神秘的な海底熟成のワイン。劣化の原因となる光が届かない深海は、温度や湿度を一定に保つためにも適した場所で、熟成を促進し、香りを開きます。
海底熟成は味わいもさることながら、フジツボや石灰藻などがボトルに付着し、アートのような佇まいに。特別な贈り物としても人気。
エクストン・パーク2009年創業。品質、革新性、卓越性を追求し、経営、畑の管理、ワイン造りなどにかかわるメンバーが各人の専門性を生かしながら、家族のように英国スパークリングワインを造っている注目のワイナリー。
(次回に続く。
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