名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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野村(のむら)
「野村」は全国名字ランキングで93位に入るメジャーな名字で、沖縄県を除いて全国に広く分布しています。
では、「野村」とはどういう意味でしょうか。
「野村」は文字通り、「野」で有名な「村」のことです。古代の「野」とは水田化された平地を指しますから、一面に水田の広がる肥沃な村のことでしょう。
こうした村は各地にありましたから、「野村」のルーツも各地にあります。
なかには「野村」が地名になったところもあります。
近江国野村(現在の滋賀県草津市)には、『平家物語』で活躍する宇多源氏の佐々木盛綱の子盛季が住んで「野村」を名乗りました。薩摩の野村氏もこの一族といいます。
現在は全国に広く分布している「野村」ですが、古い時代には稲作が盛んではなかった東北地方にはそれほど多くありません。
一方、特に多いのは北陸、東海、山陽、四国などで、なかでも山口県では30位という高い順位となっています。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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