ガラス、金属などとも違和感なく調和する
昨年、NHKの大河ドラマで人気を博した紫式部の『源氏物語』。蒔絵師の橋本一弘さんは若い頃から、源氏物語をテーマにした蒔絵を手がけてきました。
「図案に人物を入れたり、いっぱい描きすぎたりということもありましたが、今回は茶の湯の懐石料理に使ってもらう器として、料理がのって完成するように、空間を生かして描くように心がけました」
源氏物語54帖から選び出したのは、5場面。宿木、浮舟、篝火、末摘花、花散里をテーマにしました。物語を象徴する、御簾や琵琶、雲間の月、舟、琴、篝火、秋草や松などを描き出しています。その空間に流れるのは、線描だけで表現したたおやかな雲。器に優美な動きをもたらしています。卓越した蒔絵の技術が、繊細で美しく洒落た器を作り上げています。
【第59回全国漆器展・農林水産大臣賞】繊細な線描が美しい源氏物語の蒔絵の器──橋本一弘(越前漆器)
千家盆「源氏物語」難しかったのは、御簾の線、と橋本さん。源氏物語は各場面の情景が頭に入っている。蒔絵を描いた際の秀逸な間の開け方で、懐石だけでなく和食にも洋食にも展開できる。
径20×2.5センチ
5枚組33万円
福井県鯖江市尾花町8-4
TEL:0778(65)2161