ジュエリー見聞録 4月 宝石史研究家・山口 遼さんの解説で、素晴らしいジュエリーとその見どころをお届けします。
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漆黒の黒真珠と黄金の対比の華やかさに注目
解説/山口 遼(宝飾史研究家)
二色以上の色を組み合わせて、その対比の美しさを狙うデザインは多く、白と赤とか、白と黒とかが多いのですが、黄色と黒というのも、対比が鮮明であるだけでなく、華やかさがある点では、最も美しいかもしれません。
このティファニーの漆黒の黒真珠とダイヤモンドを乗せた金の黄色の対比を狙った見事なネックレス、デザインも素晴らしい。
中心から円周を取り巻いて模様をつけるデザインを、太陽光の名前を取り、サンバーストと呼びます。このデザインは一つずつのデザインは半周だけにその模様がついているのですが、全体として見ますと綺麗なサンバーストになっています。
棒状の金の部分には捻りを加えたものの上に、全くランダムに小さなダイヤモンドを乗せ、金が不必要に光るのを抑えています。普通ですと、こうした房状のものは、着用すると垂れ下がるのですが、これは固定してあるので胸の周りに美しく開きます。
ティファニーの伝説的デザイナーであるシュランバージェは、宇宙を含む自然界への関心が高く、多くの名作を残していますが、このデザインも、そのようなものでしょう。
金の部分をそのままに光らせるのではなく、いぶし金に似た効果を全体に出すことに成功しており、艶のある黒色の真珠と相まって、華やかさの中にも渋みを加えた作品。流石にティファニーの伝統を生かした傑作です。
自然界を幻想的に解釈した壮大なデザインジャン・シュランバージェによる、宇宙からインスピレーションを得た、パールの惑星とそれを取り巻く軌道を描いたネックレス。グラフィカルな18Kイエローゴールドの“光線”、そして艶やかなパールが首もとを囲み、放射状に輝きます。「スパイキー パール ネックレス」(YG×Pt×サウスシー ブラックパール×ダイヤモンド)1億7003万円/ティファニー
●お問い合わせ/ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク TEL:0120-488-712