暮らしの器に花を飾る
花を生けるために作られた特別な器でなくても、景色よく花を飾ることができます。「花と空間の調和」が持ち味の垂見さんに、そのコツを教わりました。身近にある暮らしの器に花を飾ってみませんか?
ラリックのオイル&ビネガーボトルには、ポピーの草姿をダイナミックに数輪の花を飾る際、器を対に並べるのも心地よい空間演出の一つ。一方には2輪、一方には1輪と花数は偶数よりも奇数のほうが収まりがいい。よくよく花姿を見て一番美しい茎の動きを見つけるのがコツ。手前にはマットな黒色の変形皿を組み合わせて、空間のムードを引き締めた(橋本尚美 作)。
10個のリキュールグラスを連立させて、自由奔放な花の動きを遊ぶ極々小さなグラスだが実はイタリアンデザインの巨匠、エットレ・ソットサス 作で10個も並んだ景色は壮観。繊細な草は流れを生かして長く、大きな花は短くリズミカルに花を入れた。大小感や高低差のバランスが美しさの決め手。敷板には硬質な李朝瓦を選んで。
シュガーポットやエッグスタンドには、花首を器の縁にもたせかけて低めにコバルトブルーの色合いと装飾的な佇まいに心惹かれた19世紀前半のフランスのアンティーク。下に矢筈板を敷いた。器の深い瑠璃色はラナンキュラスやカップ咲きバラの甘さを程よく引き締める。小さな器に花弁数が多い花を入れる際は茎を短くし、器の縁に花首をもたせかけ留めるといい。
古伊万里の大皿を水盤に見立てて、野趣溢れるミニアイリス大皿に薄く水を張って、春先にほんのひとときだけ出回る根付き球根のミニアイリスをひと群れにして飾る。澄んだ青色と古伊万里の藍が爽やかに呼応する生命力溢れる春景色に。
ケーキスタンドに花を飾るなら、瑞々しい苔を敷板にしてケーキスタンドはオールドバカラ。花をたっぷり飾る際には高さで不安定に見えないように、足もとの皿に苔を敷いてバランスを取るといい。白いラナンキュラスとグリーンの中には春を告げるフリチラリアが数輪。キャンドルの灯りに浮かび上がる静かな大人の時間を演出。
(次回に続く。
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