「猿之助のお兄さんが演じるのとは異なる 僕なりのルフィ、ハンコックを観ていただきたい」
――4月の大阪松竹座でのスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』では、市川猿之助さんも無事に復帰。日替わりで4パターンのキャストによる舞台が展開されます。右近さんは4役に挑戦。なかでも昼の部では、昨年の公演で “代役”として演じたルフィ、ハンコックを“主演”し、猿之助さんとのダブルキャスト公演と謳われる形になりました。
右近「猿之助のお兄さんが戻って来られたことが何よりも嬉しく、心強いですね。昨年の10～11月には再演のことなんてとても考えられませんでしたが、改めて真摯に役と向き合っていきたいと思います。役には、演じる役者の人間性や個性が漏れ出るもの。猿之助のお兄さんが演じられるのとは違う、僕なりのルフィ像、ハンコック像を創り上げられれば、また次の何かのきっかけに繋がるかもしれません。
松竹座は僕にとって、大きな役に挑戦させていただける機会の多い劇場なのですが、大阪は、お客様の反応もとてもダイレクト。テンションが高く、打てば響く反応を感じられ、熱演のしがいがあるんです。前回の松竹座で演じた女獄卒長サディちゃん、白ひげ海賊団のマルコも含め、4役それぞれで、お客様に楽しんでいただきたいですね」
――毎年8月に開催されている自主公演「研の會」も、今年で4回目。
右近「お客様の前で『鏡獅子』を踊りたい！ いつかは本公演で演らせていただける日が来るかもしれないけれど、それを待ち続けるより、下手でもなんでも自分でお客様に観ていただける機会を作ってしまおう、というのが自主公演をはじめたきっかけです。その時も猿之助のお兄さんはご理解くださり、背中を押していただきましたし、人と人との繋がり、ご縁が一つに繋がって、大きな流れになっていくことに感謝しています。新作にも、いつか挑戦してみたいと思っています。夜中に小さい小屋で、鶴屋南北ものなどのダークな香り漂う“R指定歌舞伎”をやってみたいとか、O.ヘンリーの『賢者の贈りもの』を歌舞伎にしたいとか、夢は色々あるんです」。
