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前回まで)理想の里山を求めて農家になる決意をした今森さん。2年にわたる竹の伐採作業が終わり、夏を迎えようとしている今森さんの農地。太陽の光を十分に受けられるようになった草木は、エネルギーに満ち満ちています。
今森光彦 環境農家への道
第10回 蝶が集まる庭を求めて
(文/今森光彦)
前回、環境整備の名の下、住処のクヌギを失ったオオクワガタの話をしたが、環境変化の痛手はそれだけではない。
アトリエの雑木林に群生するササユリ。種子がこぼれ何年もかけて拡散する。日本最大の水生昆虫タガメも姿を消した。私がタガメの生態写真を何年にもわたって撮影した場所も、光の田園だった。
そのころ、田んぼの土手にはウツギが純白の花を輝かせていて、珍しいクモガタヒョウモンがいくつも飛来していたのを思い出す。しかし、スミレを食べるヒョウモンチョウの仲間たちも農薬が使用されるとともに激減した。
また、私がここに通い始めたころ墓地のはずれにススキ野原があって、そこにアリに育てられる風変わりな蝶、クロシジミもいたが、この蝶も気づかないうちに見なくなった。
仰木(おお ぎ)から伊香立(いかたち)にかけての堅田(かただ)丘陵に多く見られたオオムラサキにいたっては、ほんとうに残念なことだが、とうとう絶滅危惧種の仲間入りをしてしまった。
青紫色に輝くオオムラサキ。