がんの診断や治療に欠かせない、診療放射線技師の仕事
林さんは高校生のときに自分の治療を通じて診療放射線技師という仕事を知り、国家試験に合格して、この職業に就きました。
診療放射線技師は、がんやその他の病気の診断・治療には欠かせない職業です。そして、診断方法の進展により、その仕事の領域は広がっています。
名前のとおり、放射線を用いる一般X線撮影、消化管造影検査、CT(コンピューター断層撮影)検査、乳がんのマンモグラフィー(乳房X線撮影)、骨密度検査のほか、造影剤を入れてX線撮影する血管造影検査、放射性医薬品を入れて、その分布を撮影するPET(陽電子放射断層撮影)、SPECT(単一光子放射断層撮影)、さらには、がんなどの放射線療法も担当します。放射線を使わないMRI(核磁気共鳴画像法)や超音波検査も行います。
画像撮影にあたっては患者の症状や画像検査の目的などから、画像診断をする医師がどのような画像を求めているのかをすばやく判断し、鮮明で正確な画像を撮ることが求められます。
X線検査やCT撮影では患者の無用な放射線被ばくを避けることも重要です。「患者さんやほかの職種とのコミュニケーションが欠かせません。患者さんには検査に関する不安、今出ている症状などを話していただきたいですね」(林さん)。
林さんは、バリウムを使う胃がん検診専門技師(日本消化器がん検診学会)とX線CT認定技師(日本X線CT専門技師認定機構)の資格を持っています。また現在では、骨肉腫の診断のほか、他のがんでは転移の有無を調べるのに用いる核医学検査を専門的に学んでいるところです。
堺市立総合医療センターが2015年に三次救急医療機関に認定されてからは、放射線技術科でも重症の救急患者にも対応し、緊急でポータブル撮影装置やCT室、血管造影室、ハイブリッド手術室を使用する頻度が増えました。
林さんも、救急患者が来てポータブル撮影装置の用意やCT室への患者受け入れの準備をした後、手術スタッフを手伝ったり、患者の心臓マッサージをしたりすることもあるといいます。
「患者さんの体調や病気によっては撮影室で救命救急処置が必要になるので、心臓マッサージなどの講習を受け、緊急時に備えています」
「病院の移転以来、重篤な救急患者さんにも対応しています。緊急時には特にチーム内での連携を大事にしています」(林さん)
取材・文/小島あゆみ 撮影/八田政玄
「家庭画報」2018年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。