5.しかるべき服装とマナーが大事
さて商品のめどもつき、買おうと思っているお店も決まったとします。実際の買い物では、どう振る舞うべきかは前にも書きました。
きちんとした服装をして、にこやかに、堂々と振る舞うこと、立派な店だからといって決して気後れする必要はありません。
嫌になったら買うのを止めればいいのですから。ここはあなたとお店との勝負だと思って下さい。
まずはジュエリーを身につけてみましょう。お店に飾られているときと、実際に身体につけたときとでは、がらりと変わります。それがジュエリーなのですよ。 そのとき大事なのは丁寧に扱うこと。
試したジュエリーを戻すときもきちんと元の場所に戻す、できれば価格タグなどもちゃんと表向きになるように戻す。これだけでお店のあなたを見る目が変わります。お主、できるな、ということです。
そこでにこやかに、値引きを持ちかけるみるのもいいでしょう。全く値引きをしない店もありますが、大抵は多少とも値引きの可能性はあります。 もちろん、その応対が気に入らなければ買わなければ良いのです。
前にも書きましたよね、お店が見ているのは、このお客様はまた買いに来てくれるか、ここで多少とも値引きをすれば、固定客になるのかということです。
賢いお買い物が、素敵なジュエリーコレクションを作る
ジュエリーをひとつ買うのに、そこまで気を使わなければいけないのかと怒られそうですが、一度買えば生涯使う、使える、場合によっては孫の代まで使えるのですよ。真剣に取り組みましょう。 決して衝動買いをしてはいけません。
この5か条を踏まえて買い集めれば、立派なジュエリーのコレクションができます。 将来、あなたが亡くなったあとでも、孫娘などが喜んでくれるジュエリーとは、こうして買ったものなのです。
12回にわたりましたこの連載、お気に召さないこともあったと思いますが、単に「いいお店で買いなさい」というようなアドバイスよりは実践でお役に立つと思います。 どうか素晴らしいジュエリーに巡り合ってください。
山口 遼/Ryo Yamaguchi
宝石・宝飾史研究家
大学卒業後ミキモトに入社。退社後はアンティーク・ジュエリーの研究と販売に従事。真珠および宝飾品史の専門家として、新聞や雑誌に数多く寄稿。ジュエリーに関する著書多数。
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