シンは一番まともな登場人物。周りはすべてファンタジー
「ロック・コメディというのはすごく面白いと思ったんですけど、それがゆるめのコメディとはまた違った、メッセージ性のあるストレートな話で」また驚いたという阿部さん。そんな中で自身の役・シンを「どうやって演じようと思いました」。
「たまにボケたりはするんですけど、基本まっすぐな人だし、ふざけられないなという感覚はありました。シンは、カリスマシンガーのときはシンボリックな人ですけど、メイクを取ると登場人物の中で一番まともな人。周りがすべてファンタジーですから(笑)。だから、素でいるというか、一番普通にいる人なんじゃないかなと思って演じていました」
そんな阿部さん、シンがふうか(吉岡里帆)に言う「やらない理由を探すんじゃねぇ」という言葉にのっとり、三木監督から言われたことはなんでもやろうと決めていたとか。その結果、「初日にいきなり、降ってくる水で溺れて死にかけました」なんてハメにも。実はクランクイン前にも、石膏で型取りすることがあって「叫んでる顔で型を取るんですよ。そうすると石膏が口に入ってくるじゃないですか。そこでも1回死にそうになってるので、初日は2回目の死にかけです(笑)」。以降の撮影では、「自分で命を守らなきゃいけないって思った」からか、防御意識が働いて危機に陥ることはなかったそうです。
シンの回想も差し込まれている本作。「それがよかったんです。回想シーンがあることによって、シンがどういう人なのかわかったので」