大切なシーンを撮る数日前から感じるプレッシャー
「自分とリンクする部分はすごくあります。剛みたいに胸ぐらつかんだら、うちの父だったら逆にぶん殴られて終わっちゃいますけど(笑)。剛が父親に対してそこまで感情的になるのは、それだけ母に対する思いがあるからじゃないかな。それと愛情。優しいだけが愛情じゃないですからね。剛の行動は、理解できます。それが剛という人間を形成するのにいいふうに作用すれば一番いいし、そうできていれば僕もうれしいです」
剛が父親に感情的に怒りをぶつけるシーンを、「大切なところですね。この作品において、絶対はずせないと思います」と筒井さん。そんなシーンを撮る何日か前は「ホントに嫌」だそう。
「プレッシャーですね。こういうふうにやらなきゃいけないってわかるんです。でも、そこにもっていくまでの作業がすごく苦しくて。絶対うまくいく保証もないし。お客様にいいものを観てもらうためにやっているから、すべてが苦痛というわけでもないんですけど……。そういうふうに葛藤していないといいシーンにはならないとも思っていますし。結果を出すために、集中して全力を注ぐ。それが苦しくもあり、楽しくもあり。その連続なんですよね、この仕事って」
「演じきったと思っても、お客様に“なんとも思わなかった”って言われたら、それがすべて。いい・悪いを決めるのはお客様です」