熟達の職人技だからこそ実現できた、薄手でシャープな鉄鍋
3月のご馳走、鯛めし。
白ご飯の炊き方は、洗った米2合と水400mlを鍋に入れ、蓋をして強火にかける。沸騰したら蓋を開けずに弱火で12分炊く。火を止め軽くほぐしたら、蓋をして5~10分蒸らせばでき上がり。漆椀/山田平安堂山形鋳物の起源は前九年の役が起こった平安時代後期のこと。この地を訪れた鋳物職人が、現在の山形市を流れる馬見ヶ崎(まみがさき)川流域の砂を見て、鋳型を作るのに好適なことを発見し、製作を始めたといわれています。
その後、釜などの日用品から仏像や鐘のような大きなものまで、鋳物の技術が進歩。明治になると、茶の湯釜などの工芸品も作られるようになり、現在に至ります。
1500度以上にもなる鉄を 鋳型に一気に流し込む失敗の許されない工程。山形鋳物の代表的な鋳造方法は、でき上がりを模した木型を作り、その木型をもとに鋳型を作ります。鋳型の中の空洞に熱した鉄を流し入れ、冷めたところで鋳型を割り、中から鋳物を取り出します。
“お湯”と呼ばれる熱した鉄はあっという間に冷めて固まってしまうため、流し入れる際は、数十秒という短い時間で、お湯を鋳型全体にむらなく行き渡らせなければなりません。
大きいものやデザインが複雑だと、熟練の職人にとっても息をのむ瞬間です。
今回の鉄鍋は、本体が約2キロ強と比較的軽く、見た目も薄手ですっきりとしたデザインが特徴。鉄を使ってこの薄さと軽さを実現できたのは、熟練の技があってこそ。
長谷川さんの近作「しずく」シリーズの鉄瓶。3Dプリンターを導入し、より精密なデザインの作品を作れるようになった。「初めは少し苦心しましたが、ほかにはない鍋ができ上がったと思います」とにこやかに話す長谷川雅也さん。デザイナーの息子さんとともに、3Dプリンターなど新たな技術を導入しながら、鋳物のさらなる可能性を切り開こうとしています。
今回ご協力いただいたかた
雅山(がせん)
長谷川雅也さん
創業1902年の工房「雅山」の4代目。伝統の技を守りながら、新たな技術やデザインを取り入れ製作に取り組む。山形市銅町2-1-21
TEL:023(632)3432
家庭画報×山形鋳物蓋付き両手鍋のご購入方法
「蓋付き両手鍋」底面直径約16センチ×口径約23センチ×深さ約7センチ 3万2000円(税・送料別)。購入をご希望のかたは、直接「雅山」にご注文ください。ご注文は、氏名・住所・電話番号・注文個数を明記のうえ、FAXまたはメールにてお願いいたします。
FAX/023(632)3457
メール/gasen@h4.dion.ne.jp
※ご注文が確定し、ご入金いただいてから製作するため、商品のお届けにはお時間がかかります。また、商品は一つ一つ手作りのため、仕上がりが写真とは少々異なる場合があります。 表示価格はすべて税抜きです。
撮影/角田 進 本誌・西山 航
「家庭画報」2019年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。