クリヨウジ(久里洋二)さんのアニメ作品はまさに、おもしろさと共感とが混じりあった状況が描写されていて、思わずニヤッと笑ってしまった。
超一流のデザイナー、ロン・アラッドが真剣にふざけた作品を作っていることもユーモアだ。
ロン・アラッド《Where Are My Glasses? Under》 ほか私の大好きな亡き爆笑王・桂 枝雀師匠が言っていた言葉を思い出した。「笑いとは緊張の緩和である」と。
アーティスト・ユニット、ジョン・ウッド&ポール・ハリソンの映像作品はまさに枝雀理論そのものである。
そう考え、あらためて会場を見回してみると、すべてがこの「緊張の緩和」の中で成り立っているような気がした。
今回の展覧会ディレクター・浅葉克己さんにまつわる卓球コーナーも、この理論に当てはめてみると合点がいく。卓球というスポーツ自体が「緊張の緩和」の連続でできているし、浅葉さんの生き方も「緊張の緩和」だからだ。
HUMOR(ユーモア)とHUMAN(ヒューマン)のスペルが似ているのは「人間味=ユーモア」だからではないだろうか?
本展には様々なユーモアが並んでいる。三宅一生さんのユーモア、佐藤 卓さんのユーモア。自分好みのユーモアを探してみては?
林家たい平(はやしや たいへい)
落語家。武蔵野美術大学卒業。同大学客員教授。『笑点』などテレビやラジオ、全国の落語会に出演。CD、DVD、著書多数。http://www.hayashiya-taihei.com/ 表示価格はすべて税込みです。
取材・構成・文/白坂由里 撮影/川瀬一絵
「家庭画報」2019年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。