一人一人をどうやって際立たせるかアイディアをプラスしながら撮る
例えば、主人公・片桐春之介の幼なじみで武芸の達人・鷹村源右衛門役の高橋一生さん。予告編にも観られる、曲者との斬り合いのシーンでは、「殺陣が刀だけだとつまらないし、飽きるんですよね。それはマズイ。高橋一生が生きてないんです。鷹村が、自分がやってきたことをすべて出し切れる場がきたという興奮を描きたい」。同時に、引っ越しで播磨姫路藩から豊後日田藩に移動するときにビジュアルの核になるものがない、何か必要だと考えていた犬童監督は、全長が約3.8mにも及ぶ御手杵（おてぎね）の槍を発見。
「運ぶときに絶対目立つ上に、途中で一生さんの武器をチェンジできる。御手杵の槍が見つかったときにやっと高橋一生を使い切れるぞって確信が持てたんです。一生さんを呼んだのに、ほかの映画の高橋一生よりよくないのが嫌なんです。映画の出来の問題ではなくて、責任問題というか。それは星野 源さんも高畑充希さんも、メインのキャストは全員同じ。ほかの映画で観たことないとか、出番は少ないけど、キャラが立つとかっていうふうに一人一人、どの人をどうやって際立たせるかアイディアをプラスしていって、撮りました」
国替えの総責任者・引っ越し奉行に指名された春之介は、突然の大役に怖気づきながらも、鷹村や於蘭（高畑充希）に助けられ……。
