山くんと籍を入れず、シングルマザーの道を選んだ穂子さん。写真は、現在加納監督が暮らす穂子さんの生家でのインタビュー風景。いろいろなカタチがある。無理やり“家族”に収めなくてもいい
映画の後半に投げかけられる、「家族ってなんだろう」という問い。その答えは見つかったのかと聞くと、「今の時代、いろいろな家族のカタチがあるじゃないですか。それを無理やり家族っていう言葉に収めなくてもいいんじゃないか」という答えが。加納監督は沈没家族の人たちを家族と思えないといいます。それは、「家族って言っちゃうと、その中にいる人と外の人を分けるような気がする」から。では、一般的に家族といわれる集団をあえて言葉にするなら? 「アメーバみたいなものかなって。形が変わって動いていったり、ちょっと離れて、またくっついたり。アメーバ的なものです」
卒業制作である『沈没家族』が、『沈没家族 劇場版』となって全国の映画館で上映され、アンコール上映が続き……。9月からは自主上映会も始まり、現段階で約10か所での上映会が決まっているそう。加納監督が撮ったものはファミリーヒストリーですが、こんな家族のカタチ、こんな子育てがあってもいい、誰かを頼ってもいい、そう伝えてくれている気がします。
「託すのは、親にとっても子供にとってもいいことだと思います」
加納 土/Tsuchi Kanou
ドキュメンタリー映画監督
1994年5月3日生まれ、神奈川県出身。武蔵野大学社会学部メディア社会学科の卒業制作として、『沈没家族』の撮影を2015年よりスタート。ぴあフィルムフェスティバルのコンペティション部門・PFFアワード2017で審査員特別賞、第20回京都国際学生映画祭実写部門グランプリ及び観客賞を受賞する。
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