「宇宙に浮かぶガンダムを見たら、僕らは間違いなくしびれます」——松岡さん
松岡 東京2020大会のプロジェクトでガンダムが搭載されるのも、このサイズの人工衛星ですか。
中須賀 「G-SATELLITE」はこれを三つつなげた形なので、もう少し大きいです。ここからガンダムとシャアザクが宇宙空間へ飛び出して、それを衛星のカメラ7台が撮影して地上に送信、という計画です。
松岡 ロマンがありますね! これは素朴な疑問なのですが、人工衛星からガンダムが飛び出すことに、どんな意味があるんでしょうか。
中須賀 何の意味もありません。でも、目にすることで、喜んだり、ロマンを感じたり、勇気づけられたりする人はたくさんいるはずです。
松岡 それはそのとおりだと思います! 宇宙に浮かぶガンダムを見たら、僕らは間違いなくしびれます。
中須賀 でしょう? 宇宙にはそういう力があるんです。地球観測などのまじめな宇宙開発ももちろん大事ですが、こういう試みも大事です。僕は人間はこの先もっと宇宙に出ていくと確信しているのですが、東京2020大会は人間が宇宙に近づく大きなチャンスです。
松岡 なるほど! でも、新しい試みだけに難しそうですし、プレッシャーも大きいのではないですか?
中須賀 難しいですし、プレッシャーで眠れない日もあります。でも、このプロジェクトの話を聞いたとき、絶対にやるべきだと思ったし、やるならうちだと思ったんです。僕らがいちばん確実にできますから。それと、研究者というのは道なきところを行くのが好きで、そういう状況も楽しめるマインドを持っているので、意外にこたえないものなんです。
松岡 苦しい状況も楽しめるとは、素晴らしいです。だからきっと、先生のお話から真剣さは伝わっても、深刻さは感じないんですね。このプロジェクトを通して、どんなメッセージを伝えたいですか。
中須賀 僕らは今、この「G-SATELLITE」を毎日真剣勝負で、ものすごく努力して造っています。ですから、伝えたいのは「ものすごく努力すれば、成果が出る」ということでしょうか。そういうごく当たり前のことが、今の世の中、少しおざなりにされていると感じるんですよね。昔の根性論ではありませんが、「僕らはこれをがんばるから、君も君でがんばれ」という気持ちです。これはオリンピック・パラリンピックに直接参加する人に限った話ではなくて、この機会に世の中の人みんながそれぞれ自分ががんばりたいことをがんばる、という意味です。がんばれの集大成で、東京2020大会が成功すれば最高ですね。
松岡 先生、それは僕が思っていることとまったく一緒です。日本中で、「自分ピック」ですね!