エンターテインメント

【特別対談】市川海老蔵×森山未來~次なるチャレンジへ~『オイディプス』開幕!

2019.10.16

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多彩な才能が交錯する未知なる舞台への期待


リーダー役 森山未來

「この座組みは未知も未知。まったく想像がつきません」—森山さん


森山 それにしても、この座組みは未知も未知! いわゆるコロスという市民の集団に、歌舞伎俳優さんもいれば演劇のかた、芝居をやったことのないコンテンポラリーダンサーもいる。あまりに十人十色すぎて、その人たちが空間をどう動いていくのか、今のところ、まったく想像できないです。

海老蔵 今回の時代設定が未来だからこそ、可能な座組みなんだと思います。あ、未來さんだからじゃないですよ(笑)。過去も現代も飛び越えて未来にも通用する。マシューさんは『オイディプス』の普遍性を伝えたいのでは。


森山 普遍性だけで作品をつくり上げていく......いやあ、本当にどんな感じになるんでしょう。

——歌舞伎界にあって、その挑戦する姿勢が常に耳目を集める海老蔵さん。片や俳優としてだけでなくダンサーとしても活躍めざましい森山さんは、国境を超えたジャンルレスな活動が比類のない存在感を生み出しています。

海老蔵 私は歌舞伎バカなんでね。これをやりながらも、どう歌舞伎にしようかって考えると思うんです。もちろん一生懸命演じさせていただきます。でも頭の隅で、5年後とかに『オイディプス』という歌舞伎をつくりたいって思うだろうな。

たとえば森山さんのような現代に生きる才能のあるかたとお会いしたら、どういう人物なのか、見て吸収して歌舞伎にもっていきたい。私が専門じゃない映像や現代劇に挑戦するのは、すべて歌舞伎に還元したいからだと思います。

森山 僕の場合、舞台やお芝居という言葉を発する部分から身体に落とし込まれることもあるし、ダンスという身体表現を続けることで言葉に落とし込まれる部分もあると思います。ただ、もうあまりどれがどれって考えながらはやっていないですね。

海老蔵 森山さんは私のイメージだと、演じるうえでどこか粘土をこねる職人みたいに作品をつくっていく印象がありますね。それをあまりやっている人がいないから、まず見てみたい。

森山 ああ、うれしいですね。たとえばダンスパフォーマンスだと何もないところから始まるので、それこそ粘土をこねるようにして何ができたかな、という表現になることがままあります。お芝居にはまずストーリーという枠組みがあって、そこからどうはみ出すかとか、どう突破していくかということだと思うんですが、1人じゃないので。

それでもひたすら粘土をこねて僕だけではわかり得ないところまで広がっていく瞬間が楽しいなと思います。この『オイディプス』は、本来ものすごいしっかりとした屋台骨があるにもかかわらず、何だか枠自体にすでに粘土感があるというか(笑)、そういう匂いがします。

──海老蔵さんは、来年2020年5月には十三代目市川團十郎白猿を襲名します。

海老蔵 今、私がオイディプスをやるというのも、ご縁が重なってのことだろうけれど、考えてみれば海老蔵のうちにやれることの1つなのかもしれませんね。まあ、團十郎になっても人が変わるわけじゃない。やることは変わりません。

市川海老蔵(いちかわ・えびぞう)さん

市川海老蔵さん

『オイディプス』に続き、2019年11月も「市川海老蔵 第五回自主公演 ABKAI 2019~第1章FINAL~『SANEMORI』」でシアターコクーンに登場(2019年11月5日~25日)。伝統の継承と新時代の歌舞伎の創造をテーマに開催してきたABKAIも、市川海老蔵としては今回が最後。2020年5月に13代目市川團十郎白猿を襲名する。

 

森山未來(もりやま・みらい)さん


森山未來さん

NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』 に出演中。 辻本知彦とのユニット「きゅうかくうしお」の新作『素晴らしい偶然をちらして』を、横浜赤レンガ倉庫1号館で公演予定(11月22日〜12月1日)。映画『“隠れビッチ”やってました。』(2019年冬公開予定)に出演、『オルジャスの白い馬』(2020年1月18日公開予定)に主演。
URL:miraimoriyama.com

 

 

Bunkamura30周年記念
シアターコクーン・オンレパートリー2019
DISCOVER WORLD THEATRE vol.7
『オイディプス』


歌舞伎、現代劇、ダンスの各分野から個性豊かな才能が集結して生まれる新しい『オイディプス』。ギリシャ悲劇の最高傑作を、英国演劇界の実力派マシュー・ダンスターが翻案。本作が日本での初演出となる。

Bunkamura シアターコクーン
〜2019年10月27日
Bunkamuraチケットセンター:03(3477)9999
公演の詳細、チケット情報はこちら>>

翻案・演出/マシュー・ダンスター
翻訳/木内宏昌
美術・衣裳/ジョン・ボウサー
振付/シャーロット・ブルーム
出演/市川海老蔵、黒木 瞳、高橋和也、中村京蔵、谷村美月、笈田ヨシ、森山未來ほか
表示価格はすべて税抜きです。
撮影/浅井佳代子 スタイリング/大久保篤志(海老蔵さん)、小沢 宏(森山さん) ヘア&メイク/松本 順〈辻事務所〉(海老蔵さん)、須賀元子〈星野事務所〉(森山さん) 取材・文/河合映江

『家庭画報』2019年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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