フランスの食材で地元の人のためのパティスリーを
「よく抹茶や柚子を使わないの?と聞かれますが、日本人だから、日本の食材を使って自分のアイデンティティをアピールするという安易なことはしたくない。それよりも現地の食材で、現地の人たちが愛してきたパティスリーに則った基準で勝負したい。だからここにあるのは、フランスの昔ながらのパティスリーに並ぶ、ガトー、ショコラ、マカロン、ヴィエノワズリーという王道のバリエーション。パリに住む人々の暮らしに寄り添うものを提供したいのです」
パティスリーというと日本では“ガトー(ケーキ)”ばかりが注目されがちですが、実はMORI YOSHIDAの商品の中でももっとも早く売り切れてしまうのが、パン オ ショコラやクロワッサン、タルトレットといったヴィエノワズリーです。
取材当日も10時の開店とともにパンを購入しに来た人が続々来店。午前中に完売してしまうことが多いので、美味しいヴィエノワズリーをトライしたい方は朝が狙い目です。
土日には発売後早々に完売してしまうというクロワッサンやパン オ ショコラなどのヴィエノワズリー。「現在フランスのブーランジェリー(パン屋)の85%では、クロワッサンの生地を購入し、店で焼いて提供しているといいます。でもそれでは店の味は出せない。MORI YOSHIDAでは、パリの人たちが求める味を追求して、生地から自分たちで作っています。それがお客様にも伝わっているのだと思います」。クロワッサン1.5€、パン・オ・ショコラ1.8€左からカヌレ2.20€やショソン ア ラ バナーヌ2.30€、タルトレット ポワール3.5€、タルトレット ポム3.5€新しい出会いが新しい商品を生む
ピエール・エルメ氏の奥様の紹介で出会ったというコルシカの生産者の方たちから届けられる「コンフィチュール」も、注目したいアイテム。
「何より素材がいいので、その個性を損なうことなく、さらに美味しくするにはどうしたらいいのか。生産者の彼らにも失礼にならないよう、研究を重ねて、でき上がったのがこちらです。新しい出会いが新しい味を生み出すきっかけに。いろいろな出会いに感謝しています」。
数年前、本場で、本物のパティスリーを、本場で暮らす人々に届けたいと、日本を飛び出した吉田さんのパティスリーは、今フランスの地で本場の人々もまだ見ぬ新しい世界の扉を開こうとしています。
コルシカの上質な果実を贅沢に使用したコンフィチュール各9.50€ 吉田守秀/Morihide Yoshida
1977年静岡県生まれ。菓子専門学校卒業後、東京・南青山のケーキ専門店「アニバーサリー」に勤務。半年のフランス留学を経て、「パーク ハイアット 東京」、「菓子工房オークウッド」にて研鑽を積む。27歳の時、地元静岡に「パティスリー ナチュレナチュール」をオープン。2006年、2007年「TVチャンピオン2」パティスリー選手権で2年連続チャンピオンに。
2013年パリ7区に「MORI YOSHIDA」をオープン。2014年サロン・ド・ショコラの品評会で「AWARD DU CHOCOLATIER ETRANGER EN FRANCE」を受賞。2018年、2019年、テレビ局「M6」のパティスリーのコンクール番組「LE MEILLEUR PATISSIER:LES PROFFESIONNEL」にて2年連続優勝を果たす。
2019年11月、渋谷スクランブルスクエアに「MORI YOSHIDA」日本一号店をオープン。現在様々なプロジェクトが進行中。
Information
MORIS YOSHIDA PARIS65 avenue de Breteuil 75007 PARIS, FRANCE
電話 +33 (0) 1 47 34 29 74
営業時間 10時〜19時15分
定休日 月曜・火曜
http://moriyoshida.fr/jaMORI YOSHIDA PARIS 渋谷スクランブルスクエア店東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア 1階
電話 ︎03-6452-6191
営業時間 10時〜21時
ルロワ 河島 裕子 / Hiroko Kawashima Leroy
ファッションライター。『家庭画報』をはじめ大人の女性に向けた雑誌で、ファッションやジュエリー、時計を中心に幅広く執筆。2018年より、家族とともに、拠点をフランス北部の田舎に移す。2019年夏、ついに憧れのブルゴーニュに家を購入! 夢は夫とともにB&Bを営むこと。パリで道ゆくおしゃれな人に体当たり取材する「
パリ、大人のおしゃれの見本帳」、行き当たりばったりのフランス移住エッセイ「
意外となんとかなる!? 40代のフランス移住」を同サイトで連載中。
表示価格はすべて税抜き。価格は取材当時の情報です。
写真/水島 優 編集・取材・文/ルロワ河島裕子