室内で、半屋外で、
庭を身近に感じる住まい
キッチンに続くリビングは音楽とワインを楽しむスペース。550センチの天井高で、部屋の内と外に土間とテラスを設け、庭に開かれた設計。「柔らかな光が包むリビング&キッチンは、忙しい日常を癒やす至福の空間」
日常は仕事で忙しくしている分、オフの時間は好きな音楽を聴いたり、静かに本を読んだりすることが多いN夫妻。
石や木、漆喰などの自然素材で仕上げたリビングやダイニングキッチンにはいつもクラシック音楽が流れ、吹き抜けの2階には景色を眺めながら読書ができるライブラリーを設けています。
キッチンカウンターと一体となったテーブルがおもてなしの空間になることも。家具はチーク材で統一し、庭に目がいくように控えめなデザインをセレクト。「庭を作ったことで週末は、室外やテラスで過ごすことが増え、以前よりオンとオフの切り替えができるようになりました」とご主人。
「自然を感じる心豊かな住まい」を大事にする玉木さんは、庭をいろいろな場所で身近に感じられるように、住まいの半屋外、半屋内の随所にテラスや土間を設置。
読書が趣味のお2人のために設けた2階のライブラリー。カウンターからはここで生まれ育ったご主人にとって懐かしく、お気に入りの風景が見える。リビングに設けた土間風のスペースと外のテラスを同じ鉄平石敷きにするなどして内と外の一体感を生み、庭の存在を際立たせています。
「花や実のなる木や落葉樹が多いので四季折々の景色があり、キッチンから庭を眺めているときがいちばん好きな時間です」と奥さまも日常の心地よさを満喫しています。
外からの視線を遮るために壁で囲み、坪庭を設けたバスルーム。時には夫婦で庭仕事の成果を語り合いながらテラスで過ごすことや、オープンテラスでわが家を見ながら食事を楽しむことも。
人が集まるハレの日も、なにげないひとときも、充実している様子のお2人です。
四季折々に変化する庭を前に、軒付きのテラスでくつろぐN夫妻。窓には環境になじむ木製サッシを使用。表の通りからセットバックし、広々としたアプローチに植栽帯を設けた優雅なエントランス。GA設計事務所個人住宅の設計を多数手がける玉木直人さんが主宰する建築設計事務所。ミニマルなデザインとは対照的な自然や庭ありきの有機的な家づくりを得意とし、10年後、20年後に森のように育つ庭のある暮らしを理想とする。 撮影/大泉省吾 取材・文/西村晶子 スタイリング協力/山田喜美子、岡本啓子
『家庭画報』2020年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。