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井口皓太さん×松岡修造さん「史上初の動くピクトグラムは心を動かし、世界を動かす」

2021.01.27

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情熱を突き動かすのは「譲れない」という思い


松岡 情熱、大事です! でも、僕は日本人は情熱を持ちながらも、生かすのが苦手な人が多いように感じているんです。どうしたら、皓太さんのようになれるでしょうか?

井口 答えになるかわかりませんが、僕にとってものを作ることは、子どもの頃から「これだけは譲れない」という、自分の支えにもなっているものなんですね。そういうものが見つかれば、自然に情熱が注げるようになるのではないでしょうか。

松岡 なるほど。実は僕、コロナ禍で当たり前にできていたことができなくなって、いろいろな気づきがあったんですね。同じように多くの人が、自分が本当にしたいこと、皓太さんのいう「譲れないもの」に気づいたと思うんです。そういう人たちは、そこに情熱を注げばいいわけですね。


井口 そうですね。したいことがわかって情熱を注ぐことができれば、毎日が豊かになると思います。

「64年から続くピクトグラムの歴史に自分がつながっている感覚が嬉しくて」── 井口さん


松岡 さて、64年の東京オリンピックで初めてスポーツピクトグラムが誕生し、今度は同じ日本で初めて動き出しました。皓太さん自身はどんなふうに捉えていますか。

井口 作り手としては、ピクトグラムの歴史に自分がつながっている感覚、先人たちが築いてきた大きな流れに加われたという感覚がずっと嬉しくて。IOC(国際オリンピック委員会)の公式SNS で紹介されているのを見たときは、心の底から感動しました。

松岡 皓太さんの動くピクトグラムはオリンピック・パラリンピックの歴史に刻まれ、未来永劫、レガシーとして残ります。そして、この先も受け継がれていきますね。

井口 はい。IOC にとって動くピクトグラムは念願だったと聞いているので、4年後のパリ、8年後のロス、そしてその先もきっと、それぞれの国の人たちが作ってくれると思っています。そうやって、世界中の人たちがバトンをつないでいってくれたら、日本が2020年に始めたこの新しい挑戦も、ずっと受け継がれていくでしょう。パリはやはりパリらしく美しさを強調した動かし方をするのか、ロスはエンターテインメントの国アメリカらしいものを作るのか。想像するだけで楽しくて、今からわくわくします。

松岡 その前にまず、東京2020大会です。僕は皓太さんの作品が世界中の人たちを感動させる日が待ち遠しいです!

井口皓太さんより~
対談を終えて


松岡さんが、「こうたさん」って呼んでくれるたびに、人間としての井口皓太が炙り出されていく感じで、最後はただただ絵を描いたり、工作が好きだった少年に戻っていたように思います。

対談時

対談時、パソコンの画面に動くピクトグラムを映して説明する井口さん。すべて一度3Dに起こしてから制作しているため、動きが驚くほどリアルでダイナミック。

僕自身が、ものを作り続けることで助けられていること、情熱さえ注げていれば、心が豊かでいられること。

激動の2020年に本対談の機会をいただき、改めてたくさんのことに気づかされ、励みになりました。ありがとうございました。

またどこかで、松岡さんの気持ちが「動く」映像をお届けできたらと思っています。

修造エール

自他ともに認める「右脳人間」でありながら、言葉を尽くして、もの作りへの情熱や喜びを語ってくださった皓太さん。

東京2020大会に向けて一人一人がどう動いたらいいと思うかを尋ねると、「誰かに動かされるのではなく、それぞれのリアリティを大事に、自分から、自分らしく動いてほしいですね」という答えが返ってきました。

「オリンピックは僕も絶対に開催してほしいです。でも、全員のベクトルが同じ方向を指していなくてもいいし、個々のエネルギーに大小があってもいいと思うんです。さまざまなものが集まるからこそ強いエネルギーが生まれると信じています」。

皓太さん、力強い言葉をありがとうございました。僕も自分らしく動いていきます!

修造エール
「修造画報」心のコラム一覧

第1回「オリンピックを“自分ピック”に!」

第2回「2020年、日本のスポーツ文化は変わります!」

第3回「選手を知れば知るほど、応援は楽しくなる!」

第4回「開会式は日本が総力を結集してつくる壮大な舞台。必見です!」

第5回「大会の成功はボランティアの笑顔にかかっています!」

第6回「オリンピックの選手村はこんなに楽しい!」

第7回「パラリンピックはすべての試合に大きな感動があります!」

第8回「ラグビーワールドカップ2019が教えてくれたこと」

第9回「男子マラソン・中村匠吾選手、服部勇馬選手にエールを送ります!」

第10回「挑励(チョレイ)!卓球男子代表に内定した張本智和選手が苦悩の末に取り戻した自信」

第11回「目指すは金メダル。卓球女子日本代表は強いです!」

第12回「僕が忘れられない、日本代表選手たちの名言」

第13回「一体感がいい!新しい国立競技場に立って感じたこと」

第14回「金メダル獲得で得られる、とてつもない自信

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井口 皓太さん×松岡 修造さん「オリンピック・パラリンピック史上初の動くピクトグラムは心を動かし、世界を動かす」
松岡 修造 SHUZO MATSUOKA
1967年東京都生まれ。86年にプロテニス選手に。95年ウィンブルドンでベスト8入りを果たすなど世界で活躍。現在は日本テニス協会理事兼強化本部副本部長としてジュニア選手の育成とテニス界の発展に尽力する一方、テレビ朝日『報道ステーション』、同『TOKYO応援宣言』、フジテレビ『くいしん坊!万才』などに出演中。近著に『ネガティブが人を強くする! 修造流 脳内変換術』。東京2020オリンピック日本代表選手団公式応援団長。公式サイト>>
撮影/猪俣晃一朗 スタイリング/中原正登〈FOURTEEN〉(松岡さん) ヘア&メイク/井草真理子〈APREA〉(松岡さん) 取材・文/清水千佳子 撮影協力/CEKAI

『家庭画報』2021年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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