[ 焚合せ ] 鮑 飛龍頭 いんげん「大きくてとてもおいしそう」と秋吉シェフが買い求めたブルターニュ産のあわびは、焚合せの一品に。カリフラワーで食感を増したひりょうず、針しょうがとともに美しい緑の鉢に盛りつけられた。
器|青交趾牡丹唐草鉢
当代香齋 作真葛焼の器とフランスの食材が響き合う
寒い季節ならなおのことほっこりとする白味噌仕立ての汁、煮えばなの香り高い白飯に始まり、煮物、焼物、焚合せ、八寸と献立が進んでいきます。
フランス、特にパリでは、ここ数年日本料理が人気で、パリっ子の食生活の中に浸透してきていることもあって、お客さまは皆、箸を上手に使います。
フランス人のお客さまも茶事での茶懐石の流れのとおりに、器を鑑賞しながら料理を味わった。それをおもてなしする日本人スタッフは、パリ在住の宮川さんの知人に加え、日本から総勢5名が駆け付けた。※この会は2020年2月上旬に実施。秋吉シェフにとっては、厨房の設備をはじめいつもとは勝手が違う環境での仕事になりましたが、あえてフランス人に迎合することなく「瓢亭」で培った腕を十分に発揮した料理は大好評。ほとんどの人がすべてきれいに召し上がっていました。
[ 焼物 ] ラベルルージュ サーモン幽庵焼き上質食材を保証するフランス政府認証「ラベルルージュ」を得たサーモンの幽庵焼き。本来は炭火で焼くところだが、今回はサラマンダーで焼き、この見事な照りを出している。
器|ワラ灰釉瓢透し手付鉢
5代香齋 作今回の茶懐石では、焼物、八寸は亭主側が向付の器に取り分ける配慮がなされました。さらに、宮川さんの父、祖父、曽祖父の手による鉢や徳利など、歴代のさまざまな作風の真葛焼作品を持参してきていて、折に触れて意匠や釉薬などについて宮川さんの説明が入ることによって、器を見る目、理解がさらに深まることになりました。
[ 香物 ] すぐき 共菜 山椒昆布湯桶とともに出されたのはすぐきと山椒昆布。香鉢は今回の茶懐石のために真一さんが制作したもので、あえて絵付けをせず刷毛目のみ。すぐきを育む京の土を思わせるような器。
器|刷毛目鉢 宮川真一 作 〔特集〕海を渡った京焼の器と、おもてなしの心 パリと真葛焼、茶懐石の一会(全3回)
京都・真葛焼の器を特別に誌上販売します
パリでフランス人に称賛された真葛焼の茶懐石の器を、読者の皆さまに特別誌上販売いたします。茶懐石のみならず、日常にも使える真葛焼の器をお手もとに置いて、日本の器の美を再認識してみてはいかがでしょうか?
撮影/武田正彦 コーディネート・取材・文/鈴木春恵 取材協力/今津京子 パリ日本文化会館 パリ装飾芸術美術館
※この記事は2020年2月上旬に行われた催事を取材したものです。
『家庭画報』2021年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。