フランス人のまぐろ料理とは
文・タサン志麻
フランスのマルシェで衝撃を受けたもののひとつに、まぐろの筒切りがあります。まぐろはお寿司やお刺身でいただく高級なイメージだったので、マルシェで小ぶりながらも筒切りでどーんと並んでいるまぐろを見たときは本当にびっくりしました。
フランスではもちろん生食用ではなく、火を通して食べるのですが、まぐろに火を通す感覚がなかったので、不思議に思ったことを覚えています。
今回はちょっと贅沢ですが、まぐろを使ったバスク地方の煮込み料理「まぐろのバスケーズ」をご紹介します。
キハダマグロやビンチョウマグロなどの手ごろな赤身のさくと、パプリカ、トマトといった夏野菜をたっぷり使ったさわやかな初夏の一品です。
おいしく作るポイントはまぐろにしっかり塩をふること、野菜は甘みを出すためにじっくり炒めること、まぐろが硬くならないように短時間でさっと煮ることです。また、材料が重ならないようフライパンを使うことも大切です。
作り方は簡単なうえ、煮込んでいる間に手が空くので、前菜もパパっと仕上げましょう。
前菜は暑い日にぴったり、えびとアボカドのカクテルです。切って盛り付けるだけですが、アボカドが変色しないようにレモンであえておいたり、ソースを混ぜずに器の底に敷いてさらに仕上げに少しかけたりすると、彩りがよく、味のメリハリも出ます。
えびはそのまま飾るものと、混ぜるために小さく切ったものを2種類用意し、どこを食べてもぷりぷりのえびが楽しめるようにしました。
今回はマヨネーズとケチャップで作る簡単なオーロラソースにしましたが、スイートチリソースとナンプラーや、マヨネーズとポン酢もおすすめ。その日の気分や冷蔵庫にあるものでソースを変えてみるのもいいでしょう。
盛り付ける器もしっかり冷やしておくとより冷たく、おいしく楽しめますよ。
◆志麻さんのキッチンが知りたい!◆
意識して塩をふる
素材に塩をふるとき、無意識にふっていませんか。塩はフランス料理の味の要。「全体に均一に、厚みがある部分には多めになど、素材をよく見て意識してふるとおいしさを引き出せます」とくり返し話す志麻さん。塩をふるときの志麻さんは、心なしか集中して見えます。指先を細かく動かしてまっすぐ落ちる塩は、砂時計のように一定のリズムを刻みます。