エリザベス2世1926年ヨーク公夫妻の長女として生まれる。47年フィリップ・マウントバッテンと結婚、長男チャールズ、長女アンを出産。52年、父ジョージ6世の崩御に伴い25歳で女王エリザベス2世に即位。2022年英国王室として最長の在位70年を迎えた。同年9月8日、96歳で崩御。英国王室公式サイトhttps://www.royal.uk/ 防護服着用のカメラマン1名が女王との間に適切な距離を保ち、十分な感染対策を施したうえで撮影した(ウィンザー城にて)。写真/ROTA/Camera Press〈アフロ〉暗くて不穏な時代にこそ、国民に明るい気持ちを取り戻してほしい。エリザベス2世(エリザベス女王)は在位期間中、一貫して奉仕の精神を持ち続け、実践してきました。女王が静かに語りかける言葉には、家族や友人を愛する一人の人間、女性としての思いが滲み出ています。
今も私たちの心の中に生き続ける偉大なる女王からのメッセージを英国王室研究の第一人者・君塚直隆先生の解説とともにお届けします。
君塚直隆先生(関東学院大学教授)が語る。チャーミングなお人柄も柔軟性も、女王の魅力
君塚直隆先生きみづか・なおたか 関東学院大学国際文化学部教授。専門はイギリス政治外交史、ヨーロッパ国際政治史。著書に『立憲君主制の現在』(新潮選書)、『エリザベス女王 史上最長・最強のイギリス君主』(中公新書)ほか多数。敬虔なクリスチャンである女王のメッセージのベースにあるのは平和、愛、情、誇りなど人類にとっての普遍的な真理。ふわーっと包み込むようなシンプルで優しい言葉が、女王を通すと重みと深さと浸透力を増すのですから本当に不思議です。
絶大な女王人気は、最新SNSを駆使して広報が発信する豊富な王室情報にも支えられています。“秘すれば花”が国民からの誤解と溝を生んだ過去の反省から女王が取り組んだ改革でした。失敗から学ぶ柔軟性と立ち直る力は、国民に国の継続性と安定性への信頼を与える使命を持つ王室、とりわけ女王・国王に欠かせない資質です。
在位70年間で128国、のべ350国以上を訪問し、世界中の叡智から学び、そして自らも叡智と敬われる存在になった女王。その言葉から私たちが得られる知恵は無限大です。……それにしてもあの人気者のパディントンと“お茶会”をするとは、なんてお茶目な“叡智”なのでしょう!