テーブルコーディネーターやインテリアスタイリストとして『家庭画報』のページを彩ってきた
横瀬多美保さん。あらゆるものに美を見いだし、独自の感性でリュクスな空間を創造し続けてきました。そして今、しっくりくるのは上質でありながらもくつろぎ感のあるスタイル、といいます。〝生活の中に、美が息づく〟そんな日々の暮らしに豊かさを添える素敵なアイディアを巡ります。
LESSON6
日本的な室礼のエッセンスを加えた和モダンな“現代 床の間”
私たち日本人にとって“和の趣がある空間”は、理屈抜きに心地よいもの。たとえ畳や床の間がある和室がなくても、和の精神を受け継いだ室礼を住まいの空間に生かしてみると、いつもとは異なる落ち着きを感じるはずです。多美保さんも、時には和を意識した小さな室礼を楽しみます。
「カッシーナ・イクスシー」で見つけたシアターボードは真塗りのような質感。灯籠型のキャンドルスタンドは「リヤドロ」製。
Tips1
和風にもなる漆塗りのような質感のシアターボード
生命力に満ちた夏が終わり、山が眠りにつく冬へと向かう秋は、一年の中でも特に移ろいの美を感じる季節です。日本的な風情あふれるこの季節が訪れると、多美保さんはリビングの一角に和の趣が漂うコーナーを作って秋の夜長を過ごしています。和モダンなコーディネートの中核となるのは、リビングに置かれたローボード。「家具は小物と違って気分によって手軽に替えるというわけにはいきません。ですから、購入する際には組み合わせるものをよく考えます。これはシアターボードですが、表面が漆を思わせるような仕上がりだったので、和のテイストにも調和すると思って選びました」。グロッシーな黒は、上に置くアイテムを替えることで、ぐっと日本的な雰囲気になるのです。
ローボードに屏風を立てた、洋室になじむ軽やかな室礼。