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パリの人々を魅了した茶懐石の一会。真葛焼の器におもてなしの心を込めて

2021.02.04

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海を渡った京焼の器と、おもてなしの心 パリと真葛焼、茶懐石の一会 第1回(全3回) 19世紀後半、パリ万国博覧会で高い評価を得た日本の陶芸家、初代宮川香山。それから140年後、先祖を一にする京都の陶家、6代宮川香齋の嗣子、宮川真一さんは、京焼の魅力を世界に発信したいと、数多くの器を携え、パリに渡りました。フランスの人々を茶懐石でもてなした一会を追いました。
パリと真葛焼、茶懐石の一会
パリを象徴するエッフェル塔と懐石の膳。茶懐石の一会はエッフェル塔の程近くにあるパリ日本文化会館で行われた。鯛の細造りが盛られた向付の器は5代香齋作の仁清写ワラ灰釉百合型向付。

1878年、パリ万博で名を馳せた“マクズウェア”


ルーヴル美術館に隣接するパリ装飾芸術美術館。その一角に19世紀に日本からもたらされた真葛焼が展示されています。幕末から明治にかけての時代、西洋の主要都市では競うように万国博覧会が開かれ、はるばる海を越えてやってきた日本の美術工芸品がおおいに注目を集めました。

ジャポニズムの一大潮流が生まれ、アール・ヌーヴォーにも少なからぬ影響を与えた、その一翼を担っていたのが真葛焼。「マクズウェア」とよばれて人気を博した宮川香山の作品は、1878年、1889年のパリ万博で金牌を受賞しています。


パリと真葛焼、茶懐石の一会
海外の蒐集家たちの元に渡った真葛焼のうち、パリ装飾芸術美術館には初代宮川香山(1842~1916年)の作品が少なくとも3点所蔵されている。赤鉄色の肌に黒と銀で昇竜が表された作品は、ヨーロッパにジャポニズム旋風をおこしたキーパーソンであるパリの美術商のビングが1892年に購入したもの。

パリと真葛焼、茶懐石の一会
「応竜(羽の生えた竜)」の浮き彫りの写実的な表現が見事な作品は、エッフェル塔が建てられた1889年の第4回パリ万博に出品され、帝国委員会から万博へ寄贈されたもの。

パリと真葛焼、茶懐石の一会
菖蒲とカワセミが描かれた作品も1893年に同じく美術商のビングが購入した記録が残る。

その後、第二次世界大戦の空襲で横浜の真葛焼が途絶えるなどの不運に見舞われましたが、先祖を一にする京都の真葛焼は茶の湯の世界で確固たる地位を築いてきました。その将来を担う宮川真一さんは10年ほど前から海外展開を続けており、このたびパリで初めて茶懐石の会を開催しました。

パリと真葛焼、茶懐石の一会
宮川真一さん(みやがわ・しんいち)
1977年京都生まれ。ミシガン大学美術学部留学後、京都精華大学造形学科卒業。宮川香齋家は京都で330年前より続く陶家で、真一さんは6代となる当代香齋の嗣子。真葛焼を日本国内のみならず世界へと雄飛させるべく、これまで毎年、パリ、ロンドン、ニューヨークなどで作品を発表し続けている。

「実際に作品を手にし、食という実体験を通じて真葛焼の世界観、日本文化の深淵に触れていただきたい」。

「世界のマクズウェア」の時代から百年余の時を経て、真葛焼がふたたびパリの地で花開きます。
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