テーブルコーディネーターやインテリアスタイリストとして『家庭画報』のページを彩ってきた
横瀬多美保さん。あらゆるものに美を見いだし、独自の感性でリュクスな空間を創造し続けてきました。そして今、しっくりくるのは上質でありながらもくつろぎ感のあるスタイル、といいます。“生活の中に、美が息づく”そんな日々の暮らしに豊かさを添える素敵なアイディアを巡ります。
LESSON21
大人になっても楽しみたい。風雅な雛まつりコーディネート
古来、私たち日本人は折節の行事を通して四季の移り変わりを感じ、日常生活の節目を祝ってきました。
女の子の健やかな成長を願う上巳(じょうし)の節句もその一つ。たとえ大人になっても、幸せを願う気持ちは“女の子”であった頃と同じはず。可愛らしい雛人形を囲んで、大人の女性ならではの桃の節句を楽しんでみてはいかがでしょう。
Tips1
雛人形をテーブルの中央に飾ってセッティング
横瀬多美保さんの自宅には、仕事の準備や打ち合わせなどのために人が集まる機会も多くあります。今日も、女性アシスタントの3名が午前中から訪れていました。そんなオンタイムであっても、季節のおもてなしを考えるのが多美保さん。ランチを食べる窓辺の丸テーブルを、雛まつりをテーマにセッティングしました。
「この立ち雛は、45歳頃にふと自分のためのお雛さまが欲しいなと思って求めたものです。今の暮らしには大きな段飾りの雛人形を飾る機会はありませんが、これくらいのサイズなら気軽に飾れます。今日は女性ばかりが集まるので、仕事の合間にみんなで雛まつり気分を味わおうと思って」と言いながら、多美保さんは立ち雛をテーブルの真ん中に置きました。
「壁や屏風の前に飾るのが一般的ですが、実は雛人形はどんな角度から見ても美しく作られています。仲睦まじく肩を並べる後ろ姿も可愛らしいですよね」。雛人形を囲みながらの昼食に、会話も弾みそうです。
京都の木彫人形師・森 翠風さんの立ち雛は桧製。京人形らしい伝統の技が光る仕上がりと上品な面持ちで、小振りながらもパッと目を惹く強い存在感がある。立ち雛に使われている紫色をアクセントカラーにして、タンブラーやリキュールグラスで重ねることで全体を調和させている。