『Vision』は、フランスで開催される「ジャポニスム2018」の公式オープニング事業として、7月中旬にパリで特別上映される予定。 今や世界中で高い評価を得ている河瀨直美監督。フランスの名女優ジュリエット・ビノシュさんと、河瀨監督の『あん』(2015年)、『光』(2017年)にも主演した永瀬正敏さんをW主演に迎えた、長編映画10作目となる『Vision』が6月8日から公開されます。フランス人エッセイストのジャンヌと山守の智(とも)を軸に、奈良・吉野の森で展開する死と再生の物語。徐々に見えてくる運命の糸の先に紡ぎ出される未来とは……?
――『Vision』誕生の発端は、昨年5月のカンヌ映画祭の公式ディナーで、河瀨監督と永瀬さんがプロデューサーのマリアン・スロットさんと同じテーブルになったことだそうですね。
「その通りです。実は、彼女とは一昨年も同席しているんですが、一昨年はそういう話には至りませんでした。でも去年は、“一緒にできないかな?” “やろう”という話になって。その席に挨拶に現れたのが、ジュリエットでした。帰国後にマリアンとスカイプで内容やキャストの相談をしている時に、ジュリエットに打診してみようという話になり、永瀬くん、それから岩田剛典くんの存在もあって、翌6月の上旬に製作が決まりました。カンヌではたくさんの出会いがあると思うんですが、それを形にするかどうかは、次の一歩を踏み出すか否かにかかっているんでしょうね」
――1か月もしないうちに製作決定とは、本当にトントン拍子に決まったのですね。
「タイミングがよかったんだと思います。それにしても、あり得ない速さではありますけど(笑)。でも、女性にはそういうところがありますよね。男性の場合、“とりあえず一度シミュレーションしてみよう”と言っているうちに時間が過ぎて、日常に埋没していくことが結構あるように思うんですが、女性は“やろうと思ったら、やる!”という感じ(笑)。特に今回は、マリアンもジュリエットも私も、そういうところが性格的に似ていた気がします。お2人は私よりも少し年上なんですが、お子さんもいて仕事もバリバリされていて、とても尊敬しています」