幼い頃から映画が好きで、高校時代に8mmフィルムで映画の製作を開始して以来40年以上、映像に携わり続けている犬童一心監督。引きこもりの主人公・春之介の成長を2時間でどううまく見せられるか
大名が江戸と自領を行き来した参勤交代は、皆さんよくご存じでしょう。出費がかさむ参勤交代でしたが、それを上回る費用と労力がかかったのが国替えです。国替えとは、幕府が大名の領地を移し替えることで、いわば藩全体のお引っ越し。すべての藩士と家族で引っ越すため、費用は現在の15億円相当になることもあったとか。その国替えを、『超高速!参勤交代』シリーズで知られる土橋章宏さんが小説『引っ越し大名三千里』にし、『のぼうの城』の犬童一心監督によって映画化されました。
脚本も手がける土橋さんと、「どう映像にするか」からスタートしたディスカッションは、「脚本を読んで、どう直すか話をして。それを繰り返して、完成までずいぶん長い間かかりました。(撮影をする)京都に行ってからも、ギリギリまで直していましたから」と犬童監督。その中で考えていたのは、「主人公の春之介(星野 源)が引きこもっている状態から表に出て、人の上に立って目立つ存在になるまでの成長を、映画の2時間の中でどううまく見せていけるか」ということと、物語の中でそれぞれのキャラクターを立てること、俳優を魅力的に見せること。