2015年度下期のNHK連続テレビ小説『あさが来た』の田村 宜役で注目を集めた。澄んだ大きな目が印象的。世界に先駆けて日本で1月から初上演される舞台『FORTUNE(フォーチュン)』に、吉岡里帆さんが出演します。『ファウスト』を題材にした、英国を代表する劇作家サイモン・スティーヴンスの最新作です。舞台は現代のロンドン。森田 剛さん演じる悪魔と契約を結んで望むものすべてを手に入れた男が、やがて闇へと堕ちていく物語です。ラブストーリーでもある本作品でヒロインを務める吉岡さんに、意気込みを伺いました。
――日英のクリエイティブチームと日本人キャストで世界初演される本作品。稽古はいかがですか?
「とても楽しいです。11月に劇作家のサイモンさんが来日されて、初めにみんなで、台本を読み解く時間が持てたことも、貴重で有意義な経験でした。サイモンさんが台詞に込めた意味や、その状況で心はどう動くのかといったことを改めて確認することで、文化や価値観の違いを知ることも面白くて。この面白さを、観にいらした皆さんにも伝えることができたら、本当に素晴らしい舞台になるだろうなと思います」
――吉岡さんが演じるのは、映画監督として成功したものの、常に喪失感を抱えて生きている主人公フォーチュンが惹かれる、若き映画プロデューサー、マギー。どういうイメージを持っていますか。
「ピュアだからこそ動じないところが、マギーの魅力。まっすぐな信念と、あらゆることに対する自信を持っているキャラクターなので、何があってもブレないという点を大事にしてほしいと、演出家のショーン(・ホームズ)さんには言われました。もちろん、心が突き動かされるような劇的なシーンもあるんですが、そんなときにも一貫した強さがエネルギーとして出ている人。そういうイメージを持っています」
――現時点で、課題に感じていることは何でしょう?
「マギーというキャラクターを演じるには、まず自分の弱さに打ち勝たなくてはいけないなと感じています。それぐらい自信と強さを持った役なので。私自身、弱さや悲しみを抱えて闘っているキャラクターであれば演じることも多いですし、アプローチしやすいんですが、すべてをはねのけるくらい強い人を演じようとすると、尻込みしてしまうところがあって。そこを突破するような強さを、自分の中にも見つけなければと思っています」