困難な日も“ナンノこれしき”
「迷い苦しんでいた梅雨のような日々が明けて、今、とても軽やかな気持ちです」
ブラウス27万2800円／エルマンノ シェルヴィーノ（ウールン商会） イヤリング207万2400円 リング59万4000円／ともにロイヤル・アッシャー（ロイヤル・アッシャー カスタマーサービス）南野陽子（みなみの・ようこ）女優、歌手。1967年兵庫県生まれ。ドラマや舞台など今までに200作以上の作品に出演し、受賞歴多数。舞台『泣いたらあかん』（～2023年6月20日大阪・新歌舞伎座、2023年7月1日～23日博多座）出演。雨の日は雨の日なりの過ごし方で。晴れたら存分に行動すればいい
「日・カンボジア友好70周年」親善大使として2023年2月にカンボジアを訪問。3月はフルバンド編成によるライブ12公演を開催。5月からは大阪新歌舞伎座での舞台に出演と、ますますの活躍で輝きを増す南野陽子さん。
「人生を天気に例えるなら、今はたぶん晴れの時期」と自己分析する背景には、50歳手前から6年ほど続いた曇天の日々がありました。
「頭痛、吐き気、めまい、汗、手のこわばり。更年期症状のオンパレードでした。しんどくて逆に笑っちゃうぐらい。とはいえ、みんなが通る道。抗ってもしょうがないですよね。
だから『はい！ 私は今、梅雨なんです。外に出て大きく伸びをすることも洗濯もできないけれど、晴れたらやります！』そう割り切って、やりたいことを思い巡らす“想像の時間”にしていました」と振り返ります。
『少年少女世界文学全集』を読むのが好きだった幼い頃。
「風邪をひくと新しい本を1冊もらえたんです。物語の世界に入り込んで夢中になりました。想像することはその頃から得意だったかもしれません。だから更年期真っ只中のときも、こういう歌を歌ってみようかなとか、5年後きっとこんなおばちゃん役ができるなとか、もう“もしも”の達人ですよ（笑）」。
そうした“考える力”について南野さんはこう続けます。
「想像しておくと、目の前にチャンスが現れたときにそれを摑むことができると思うんです。例えば白いお家に住みたいなと考えていた人が『FOR RENT』になっている素敵な白い家を見かけたら、それはチャンスですよね。想像していなかったら通り過ぎてしまう。だからみんなも絶対に想像したほうがいいですよ。なりたい自分になるには“まず思う”こと。大事です」。
「あぁ、面白かった！」といって終わる人生を送りたい
1985年6月、18歳の誕生日にデビュー。その年の11月にドラマ『スケバン刑事Ⅱ 少女鉄仮面伝説』の主演に抜擢され、以降も映画、歌、写真集と次々にヒットを飛ばし、瞬く間にトップアイドルになった南野さんですが、タレント人生の軌跡を振り返ると、実は風の強い日も多かったといいます。
期せずして21歳で所属事務所を独立した後しばらくは思うような活動ができず、テレビの歌番組の減少という流れもあり、25歳で歌手活動を休止。
同時期に日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞し、女優業に専念したものの、「いつやめようかと追い込まれたことも。30代になるとさらに中途半端。若く悩む役もできなければ、母親世代の役にもなれなくて。欲を捨てて気持ちが楽になったのは40代になってからです」。
そんなふうにもがいた時期も今となっては人生の財産。
「マイナスがあるからこそ、プラスが感じられる。私、『あぁ、面白かった』といって一生を終えたいなと10代の頃からずっと思っていて。ひやひやしたり褒められたり、失敗したり楽しかったり、人生最後に帳尻が合うような凹凸があるほうが面白い。
だから『どうしよう⁉』っていう土砂降りのような出来事がこれからも起こるかもしれませんが、抜け切る自信もあるんです」。
