鹿児島県霧島市の民営国民宿舎「霧島新燃荘」。私好みの濃い~い硫黄系。桐島ノエルの温泉ダイアリーズ
プロローグ「私が温泉に恋したその理由 」
(文/桐島ノエル)
温泉は日本の宝だ。私はいたって真面目にそう思っている。
考えてみれば子どもの頃からお風呂が大好きだった。姉弟3人で育った横浜のマンションでは、バスタブは私が一人になれる貴重な場所だった。
試験前には、風呂場に篭り、ノートの紙を濡らして壁に貼り付けて勉強をした。そうすると、不思議と内容がスーッと頭に入るのだ。
もともとテンションが高く、あがり症で緊張しいの私は、お風呂に入れば自然とリラックスできることを、頭ではなく身体で理解していたのかもしれない。
旅先で秘湯に出会うと入らずにはいられない。岩手県八幡平の藤七温泉「彩雲荘」。私のお風呂好きは大人になるにつれエスカレートしていった。
基本的に物がゴチャゴチャ置いてある空間が嫌いな私は、「男の人の部屋みたい」と姉に呆れられるほど、何もない部屋に住んでいた。
しかし、バスルームだけはいつでも精油やオイルが入ったガラス瓶に、キャンドルや枕、ハーブのサシェなどがひしめき合うゴージャスな空間だった。