――台本の内容について感じたことを教えてください。「“フェイク”と“シェイクスピア”が合体したようなタイトルですけれども、シェイクスピアがそこまで強く出ている印象はなくて、やっぱり圧倒的に野田さんの世界だなと感じました。去年の11月に、『フェイクスピア』のワークショップが3日くらいあったんです。そこでやったことが、ここにこんな形で繋がるのかと思う部分もありましたし、この膨大な言葉の中から、自分にとって芯になるものを見極めて拾い上げていくことが、俳優にも求められるんだろうなと思いながら、野田さんの本読みを聞いていました」
――ご自身が演じる役については、どんな印象をお持ちですか?「何か大きなものにあらがっているようなところが、すごく自分とリンクしている気がしています。俳優は台本や役柄あってこその存在で、俳優自身は基本的に言葉を持っていません。台本に紡がれた自分の役の言葉に触れた瞬間、“これ、僕が言いたかったことかもしれない”と錯覚してしまうことがあるんですが、そういった言葉が要所要所に出てきて、ちょっとドキドキしました。対立する相手がいたとしても、向こうが動かない限りは黙ってじっとしてるようなところも、すごく似ているなと思いました」
『フェイクスピア』の舞台は恐山。死者の言葉を蘇らせるイタコをすがって、ワケありの人々が集まってくることから物語は展開する。