ここで、再びデューラーが仕組んだ潜在するイメージ(
連載第2回参照)に戻ってみることにしましょう。
デューラーが《メレンコリアⅠ》の多面体に浮かび上がらせた染み(下・図4)にも、髑髏のイメージが潜んでいました。
図4 アルブレヒト・デューラー《メレンコリアI》 1514 年、エングレーヴィング再びデューラーの「染み」。同時代に生きた二人の天才は、同じ表現手法で作品の本当の意味を伝えようとした。イタリアのレオナルドとドイツのデューラーが交流した記録はありませんが、この二人の画家は、潜在するイメージを見つけ出すことができた人にだけ作品の本当の意味を伝えようとしていたようです。
こうした表現手法をめぐる「美術革命」は、二人の天才によりアルプスの南と北で同時に起きていたのです。
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この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。