京都中京にある、小倉淳史さんの工房を訪ねた常盤貴子さん。小倉家の初代、萬次郎が修業した近江屋利助の屋号「キンリ」の文字を受け継ぎ、染め出した暖簾の前で、談笑する二人。
常盤さんのきもの、帯/弓月京店 帯揚げ/和小物さくら 帯締め/道明 バッグ247万1000円/コンテス(アクリスジャパン コンテス事業部) 履物/銀座ぜん屋本店
京都の町の中心部を東西に横断する御池通から一本入った通りに建つ京町家が、染色家小倉淳史さんの工房です。ここは、柔らかな光が町家格子を通して差し込む、京都ならではの風情を大切にする小倉さんこだわりの空間。この町の季節の移ろいの中から、辻が花の作品が生まれます。
数日前に小倉さんの作品をまとい、「圧倒的な美の力を感じた」という常盤貴子さん。辻が花の世界観を知りたいと、工房を訪ねます。
小倉さんは京都に130年余り続いた手描き染めの5代目。父・建亮氏は友禅だけでは飽き足らず、独自の作風を求めて義母の実家「絞りの岡尾家」で絞りを学び、研究し、“辻が花の建亮”として名を馳せました。
建亮氏の力強い作品を目にした常盤さんは、「40年も前に作られたとは思えない」とその生き生きした作風に感嘆。工房での真摯な制作風景にも見入ります。
坪庭に面した座敷で、父・建亮氏の作品について語る小倉さんと、大胆な作品に感銘を受ける常盤さん。約40年前に染められた「陽炎(かげろう)」は、瑪瑙(めのう)の流れるような縞に着想を得たもの。